暗い過去と確かなこと ページ10
普段からは想像もつかないほど礼儀正しい京。
通夜の間中、京は一番毅然としていた。
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ようやく葬式が終わり、俺たちは京の傍に向かった。じゃないと、アイツがおかしくなりそうだったから。
「・・・京。」
声をかけると、あいつはギロリと視線を投げてきた。いつものキラキラした目じゃなくて、血走った鋭い目。
あまりの変わりように俺らが声を出せないでいると、
貴「・・・呼びかけといて、だんまりか？」
つまり、「なんか話せ」と言っているのだろう。
京の周りに腰掛けた。
エ「・・・どうして、泣くのを我慢してるの？」
エマが唐突に聞いた。
エ「ウチもね、泣くのを我慢してた時があったからわかるんだ。・・・京ネェ、今すっごく辛いはずでしょ？なのにどうして泣かないの？」
そうだよ。我慢する必要ねぇじゃん。強がんなよ・・・。
お前はまだ子供なんだぞ？
それでも、京は俯いて黙りこくっていた。
すると、痺れを切らした場地が口を開く。
場「葬式に来た奴ら、全然悲しそうじゃなかったぞ？お前んとこの弟も、母ちゃん死んだのにはしゃいでたぞ？なんでだ？」
ば、場地ぃぃぃっっ！！
一番聞き辛ぇことをぉぉぉ！！
もう一周回って尊敬する。
貴「・・・武道な、ほとんど母さんと会ったことがねぇんだよ。」
けれど、意外なことに京は口を開いた。
その声は震えていて、やっとのことで吐き出したようだった。
貴「母さん、武道産んですぐに体調崩して、私がある程度家のことができるようになってからは入院まっしぐら。武道に物心つく前の話だから、武道にとっては母親なんていなくて同然。それに武道、病院行きたがらねぇし。・・・赤の他人だ。そんなんで泣く方が無理な話だろ？」
貴「爺ちゃんと婆ちゃんはボケちまってるし、親戚の奴らは母さんのことを良く思ってねぇし。」
そこで一呼吸おいたかと思うと、立ち上がった。そのまま庭に出る。
京の背中しか見えねぇ。
貴「・・・一昨日教えられたんだ。母さんさ、キャバ嬢だったんだとよ。」
そんで、本気になっていた男にヤり捨てされて産まれたのが私と武道。
望まない妊娠。
こんな状況下でさらに追い打ちをかけるように知らされたこと。
教えた奴はいったい何を考えてんだ？
貴「・・・それでも、母さんは確かに私たちを愛してくれたよ。」
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作者 - コメントありがとうございます。更新、頑張ります。 (2022年7月20日 0時) (
レス) @page44 id: db786199f7 (このIDを非表示/違反報告)
この作品にハマったものですＺＥ☆ - マジで！マジで！マジ(( 面白かったです！更新待ってまーす♡ (2022年7月19日 17時) (レス) @page43 id: 2d1d3bdc6c (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2022年7月13日 20時
