第二十一話 ページ22
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すっと高く伸びる青空、積み木を重ねたみたいな雲、早とちりをした蝉の声にソワつく麦わら帽子。夏への期待感でふわふわしている街の中を歩いていると、建物と建物の間から青白い手が伸びてきた。
「……えっ？！」
太陽の加護から飛び出て、一番に視界に飛び込んだのは、梅雨の空みたいな鋭くて翳る瞳だった。火傷のような皮膚をもつ彼は私の手首を引き寄せると、薄暗い路地のほうへ連行した。すっかり通りが見えないじめついた空間にまでゆくと、ようやく彼はそこで立ち止まった。
「先日ぶりです、ね……荼毘さん」
私が名前を呼ぶと、彼はどこか納得したように振り向いた。
「よぉ、ポンコツ」
まるで子供を褒めるような笑顔なので、私はつい口を尖らせる。荼毘さんは私のことを、すぐに名前を忘れるような人間だとでも思っているのだろうか。忘れられるはずがないだろう、あんなにも怖い思いをしたのだから。それに私はポンコツじゃない、花房Aだ。そう抗議したら、荼毘さんは意外そうな顔で薄っすら笑った。
「お前変なやつだなァ」
「えっ……荼毘さんに言われたくないです」
心外アピールをしたら、荼毘さんはケタケタ笑って再び私の手を握ると、今度は狭い路地を飛び出して何かしら(それが何かはさっぱり分からないけれど)目的を持って歩き出した。
再び太陽の加護を受ける、彼の高い背丈によりうまれる影の色の濃さが目に眩しい。
「すっかり夏ですねぇ」
と、ピタリと彼が歩みを止めた。私は唐突に目前に迫った荼毘さんの背中に情けない声を出す。
「……荼毘さん？」
荼毘さんは振り向くと、どこか神妙な面持ちで私を上から覗き込んだ。
「ポンコツ、お前に仕事を頼みたい」
仕事？ と私が首を傾けると、荼毘さんは目を伏せうなずいた。本当に深刻な顔だ、私はなんだか胸がざわざわするように感じた。荼毘さんは影を落とした表情で、近くのマンションを指さした。
「この部屋の＿＿」
この部屋の。ゴクリとつばを飲み込んだ。
「＿＿掃除をしてくれないか」
へ？ と私は間抜けな声を出して、荼毘さんが導き開いたドアの向こう側を見た。そして絶句した。
「き、汚い……」
そこは壊れた家具や割れた食器らで散乱した、腐海……もといマンションの一室(だと思われる空間)があった。
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ちゃこ(プロフ) - うぅ…好きです！！今なら私も花咲かせられそうです😭！前から気になっていた弔くん…無事推しになりましたありがとうございます！！ (2022年5月25日 5時) (
レス) @page50 id: e4e61dc8c5 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 完結おめでとうございます！最高でした！ (2020年8月18日 1時) (レス) id: 05ebd46207 (このIDを非表示/違反報告)
弥生 - はなかっぱ… (2020年2月4日 3時) (レス) id: 86c077b51d (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - すごく良かったです！！！死柄木君の小説は初めてだったんですけど、もう最高すぎました！！ (2019年11月5日 22時) (レス) id: a8dea294c9 (このIDを非表示/違反報告)
オーバー - 完結おめでとうございます！最後までキュンキュンさせていただきました！！ 占ツクを徘徊していた時に、とんでもなく良いこの作品を見つけてからは、ずっと応援していました(´ω`*) もちろんこれからも応援しています、頑張ってください！！ (2019年8月25日 22時) (レス) id: 50e4bb27d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きりんの木
| 作成日時：2019年6月13日 19時
