似ているキミと作られたオレ【東リべ】

46話《I didn't want to meet》 ページ46

＿No side＿

A「悪い万次郎、先帰っててくれ」

Aは証拠隠滅してから帰るから、と言い、万次郎と武道を先に帰した。
＿＿

一人になった公園は、風の音がよく聞こえ、それと共に『カラン』という音がする。

A「さっきから分かっていたが、何してるんだ








イザナ」


目の前の大木に向かって言った。

するとその木の後ろから人がひとり『カラン』と音を立てて現れた。

イザナ「いつから気付いてた？」

A「さっきからずっと。お前殺気抑えることくらいしろよ…」

Aは溜息をついたが、イザナは何故か笑っていた。

イザナ「へぇ〜彼奴等は気付かなかったのに、Aだけは気付いてたんだァ♡」

ザァザァと風の音が聞こえ、イザナの耳元のピアスが揺れる。そして、少しづつ近付いてくる。

Aは嫌な予感を感じ、後退りをした。

イザナ「オレさーAに逃げられて悲しかったよ？そして今は万次郎(彼奴)等と一緒にいてさ、何が『俺のにぃ』だよ。




お前はオレだけの物だって、何度言わせりゃわかんだよ」

イザナはAの髪を強引に掴み、自身の顔に近付けた。

イザナ「帰るぞ、A」

髪を離し、その代わりに腕を掴まれた。ギチギチと腕が鈍い音を立てる。

A「(俺が居なくなれば、丁度いいんじゃないか？

俺と言う闇から離れれば、万次郎は笑顔で居られるんじゃないか？

それなら…)イザナ、ついて行くから、離して。痛い」

Aがそれまでしていた抵抗を辞めると、イザナは驚いた顔をして、

イザナ「！！初めからそうすりゃいいんだよ♡」

と言い、Aと手を繋いだ。

A「…そう、だな。」ﾆｺｯ

Aは無理矢理笑顔を作ったようで、悲しそうな顔だった。
＿＿

その日の夜。一向に帰ってこないAを心配した佐野家の家族達は、彼の携帯に何度も電話やメールをした。が、応答も既読もつくことがなく、みな焦っていた。

すると、突然、万次郎の携帯が鳴り、メールが届いていた。Aからだ。

来ていた内容は

Aこれで俺のとこまで堕ちなくて済むな

だった。万次郎は疑問に思いその後何度もメールをしたが、既読が付くだけで、もう返信は来なかった。

万次郎はその日の夜中ずっと、彼の言っていた意味が気になっていた。

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