ご婚礼 ページ3
Aside…
「おぉーい、薬売り。今日は姫様の輿入れだ、薬は売れねぇぜ？」
屋敷を見上げていると門番が声を掛けてきた。
『…だ、そうですけど』
薬売りさんに視線を投げるが、黙って中へ入っていってしまう。
それを追い敷居を跨ぐとゾワッとした何かを感じた。
『…っ、これは…』
一体なんだ…？
「…ほぉ…」
薬売りさんは少し口角を上げた。
「…行きますよ」
『は、はい…』
＿＿＿帰して…
＿＿＿私を帰して…
女人の声がする。
貴方は一体…誰？
屋敷は広く立派だった。
だが奥に進むにつれ、身体は重くなっていく。
＿＿＿いい子、こっちへおいで
また…先ほどと同じ声だ。
「あら、届け物？何かあったっけ？？」
ふと我に帰ると、薬売りさんが若い女子と話をしていた。
「いやいや、私は薬売り」
「待って待って！今日はそんな暇ないの！だって…」
「ご婚礼があるから…？」
「そうそう」
今日はここの娘さんが嫁ぐ日だったようだが、流石に薬は売れないんじゃないだろうか。
「お輿入れですか。…なら、余計好都合ってもんだ。」
薬売りさんは自信ありげにそう言った、
「花嫁さんにピッタリな薬……」
何やら耳打ちすると女子の顔は赤く染まった。
「やだもぅ〜見せてみせて！」
「おっと」
飛びつくように食いつく女子。
一体何を言ったんだ。
そんな光景を入口がら眺めていると小柄な男がやって来た。
「だ、誰だお前は！とっとと出てけ！お前如きが入っていい場所じゃねぇんだよ！…なぁ、加世？」
薬売りさんだけに投げられるその言葉。
…俺もいるんだが。
きっとそれは薬売りさんが楽しげに女子…加世さんと話しているからだろう。
この男、加世さんのことを気に入っているのか。
「お水なら勝手にどーぞ！」
しかし加世さんは邪魔をするなとでも言いたげにそういった。
男はオドオドと「あ、え…でも…」と言っているが、加世さんはまくし立てるように続けた。
「は、や、く！しないと、また勝山様に怒られるわよ！」
「……そ、こまで言わなくっても……」
しょんぼりとしてしまった男が流石に可哀想に思えて、水を一杯汲み男に渡す。
『…どうぞ？』
「おぉ、…かたじけない…」
可愛そうだが…
薬売りさんに適う人間なんて早々いないだろう。
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←贈り物
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 27人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
零 - 続き楽しみです！ (2020年4月3日 16時) (
レス) id: 28ee4bfc20 (このIDを非表示/違反報告)
林檎飴(プロフ) - モノノ怪の作品少ないんで凄く嬉しいです。今後も更新頑張ってください！ (2017年7月27日 15時) (レス) id: 87903ff8ef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：moa
| 作成日時：2017年6月27日 6時
