60話 ページ10
諸伏side…
朝食も、その片付けも終わった頃。
A君はおもむろに冷凍庫から何かを取り出した。
…ピンク色の何か。
諸伏「…A君、それは?」
『何って、…ピンクマウスだけど』
諸伏「…うっ、マウス…」
見慣れないそれに少し鳥肌がたった。
『死体は平気なのにこれはダメなのか?』
諸伏「…初めて見たものですから。それ、どうするんですか…?」
『俺の相棒の餌だよ。あ、諸伏も見に来る?』
餌…。一体何を飼っているのだろう。
A君に連れられてやってきたのは大きな温室。
ドーム状になっていて、中央にはテーブルと椅子が置かれている。
様々な植物が青々としていて、とても落ち着く空間だ。
A君は『こっち。』と更に奥に進んでいく。
そしてたどり着いた先にはファルコンブロックに繋がれたオオタカが居た。
『相棒のシエル。男の子だよ。シエル、諸伏にご挨拶を。』
「ピューイ」
飼い慣らされているのかオオタカは少し鳴いてから頭を下げる動作をした。
諸伏「シエル君、はじめまして。」
『足にカメラを付けて飛ばして、ターゲットを追って貰ったりしてるんだ。特に山の中とか尾行しづらいところはね。』
諸伏「なんだか映画のようですね。」
『ふふ、007って知ってるか?』
諸伏「MI6のエージェントのお話ですよね?」
『あぁ。あの主人公のモデルは俺の父なんだ。その父さんに色々仕込まれたんだから映画みたいだと思うのも当然だよな。だって映画になってるんだから。』
シエル君にエサを与えながら可笑しそうに笑うA君。
こちらとしては驚きの方が上で笑えない。
諸伏「ならA君のお父さんはMI6…?」
『もう殉職したけどな。ちなみに俺の祖父もMI6。』
諸伏「…ならどうしてA君はMI6ではなくICPOに…?」
『えー………それ言わなきゃダメか?』
小さな声で恥ずかしそうにそう言ったA君。
諸伏「えぇ。教えてくれないのならキスも禁じますよ。」
A君にとってハニートラップでの失敗はエージェントとしてのプライドが掛かっているようで、ぐっと眉を顰めると渋々口を開いた。
『…最初は父さんの言う通りMI6に入ろうとしてたんだ。…けど、○から諸伏が警察官になったって聞いて…、その、…ICPOなら諸伏と仕事ができるかもしれないと…思って…』
少し頬を染めて言うA君は可愛らしく、思わず笑ってしまった。
諸伏「ふふ、…嬉しいです、とても。」
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碌無者(プロフ) - とても好きです、続きを心待ちにしております。受けコウメイさん大変美味しいですありがとうございます!!!!! (6月8日 3時) (レス) @page16 id: 30016e5b4f (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - Excuse meさん» 流石にダメだと思いますよ。 (2023年1月31日 14時) (レス) id: cb2bf785ca (このIDを非表示/違反報告)
Excuse me(プロフ) - pixivで書いてもよろしいでしょうか?名前、タイトル変えます (2023年1月30日 22時) (レス) id: 880b7bddc6 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 続編おめでとうございます! (2023年1月28日 15時) (レス) id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - 続編おめでとうございます。主人公君の色気にドキドキです。 (2023年1月28日 14時) (レス) @page1 id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もん(mon) | 作成日時:2023年1月28日 13時