惚れた病に薬なし【五条悟】 ページ8
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「 …次、いつ会える? 」
先ほどまで愛らしく寄せていた口元に煙草を燻らせ、そうぶっきらぼうに言ったのは僕の恋人、A。
同棲や婚約の話などは全くないが、時間の都合がつけばお互いに顔を合わせ体を寄せ合う。
それが僕たちのスタイルだった。
「 長期出張が終わればまた東京に戻ってくるから、またすぐ連絡いれるよ。 」
「 …ん、 」
暗がりの部屋で天井を見つめる僕とは違って、Aは携帯と睨めっこ。画面の光に照らされ濃く影を残す彼女はいつもこうだった。
「 …悟、水いる? 」
「 ああ、お願いしようかな。 」
まだ吸い残された長い煙草は灰皿へと押し潰され、煙は薄く消えた。
夜に会った時の僕たち見たく、恋仲のはずなのにどこか薄い。潰されたら消されそうな、そんな様な。
「 つめッ、 」
「 はい。何ぼーっとしてんの?らしくな。 」
冷えたグラスを頬に当てられる。
その感触に現実に戻される。
「 …今日は、ここで一眠りしてこうかな。 」
「 ご自由に。 」
僕を一人ベッドに残し、シャワーを浴びに行った彼女。彼女の甘い香水の残り香と、冷えたダブルベッドはもの寂しく感じた。
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「 ん、あれ。 」
いつの間にか朝になっていて、朝日の優しい暖かさに包まれる。
Aは隣にいない。
サイドテーブルに置かれていた携帯も、脱がせたはずの衣服もなかった。
「 朝ごはんと置き手紙だけ残して行っちゃうなんて。起こしてくれたっていいのに。 」
ラップにかけられた健康的な食事に、可愛らしい文字の手紙。
今度会ったら同棲の話でもしてみようかな。
そう浮かれていたのは朝だけだった。
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麦芽糖(プロフ) - 舞香さん» ありがとうございます!更新頑張りますのでこれからもよろしくお願いします! (2021年2月17日 9時) (レス) id: 590a187e25 (このIDを非表示/違反報告)
舞香(プロフ) - め、めちゃくちゃ好きです……!こういうのを求めてました…!これからも頑張ってください、応援してます!! (2021年2月16日 21時) (レス) id: 26fd9ad117 (このIDを非表示/違反報告)
麦芽糖(プロフ) - yuunaさん» リクエストありがとうございます。また書けそうでしたら書きますので、しばらくはリクエスト停止させていただきます。いつも読んでくださりありがとうございます(^^) (2021年2月16日 19時) (レス) id: 590a187e25 (このIDを非表示/違反報告)
yuuna(プロフ) - とても面白かったです!またリクエスト失礼します!高専五条がメンヘラで一般人夢主が文ストの太宰治みたいな性格で浮気性なのが見てみたいです!! (2021年2月16日 19時) (レス) id: a73b6209c2 (このIDを非表示/違反報告)
マリイ - ナナミンがメンヘラ見たいです (2021年2月15日 16時) (携帯から) (レス) id: 82a6cba0ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麦芽糖 x他1人 | 作成日時:2021年2月15日 7時