Pseudo romance (ページ6)

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「役者って、…馴れ合うもの？常に一人で魂を燃やすんでしょ？」

『……っ』

見た目を重要視されがちな、この世界で。私に勇気をくれた沢山の先輩がいた。どんな脇役でも自分にとっては主役だと自信過剰で笑い上戸の先輩も、崖っぷちな方が這い上がれるといいつつ影で泣いていた先輩。(人1)ちゃんはこれからだよってずっと励ましてくれた先輩。＿＿＿＿

この仕事を通してどんな絶望に苛まれるか分からない私に、知識を植え付けてくれた皆の恩恵を忘れては駄目だ。

どんなに煙たがられても誇りは失わない。

なりたくてなったわけでもない役者に、ここまで必死になれたのは。私を信じてくれた、奮い立たせてくれた。このマネージャーのお陰だと。

素直になれる日が、いつかくるといいな。

「……あ(人1)！行こう｣

『！、……』

スタジオ中に響き渡るテヒョンさんの声。何のつもり？突然彼に名を呼ばれただけで一瞬時が止まったようになった。

彼なりのコミュニケーションなのか。行こうと腕を引いてくれるその馴れ馴れしさに。私は、あえて何の反応も見せないようにした。

・

ざわつき始める雰囲気に。また顔が曇り始めてる気がして。撮影間近、必死に集中力を高める。

どんな撮影内容なのか把握するには通訳さんなくして成り立たない。

何度も聞き直して機嫌を損ねてしまいそうだったが、幼なじみを演じる私とテヒョンさんの純愛を描いた作品にするらしい。

台詞や台本は自由にしてほしいとの要望に韓国語が読めない私は返ってそれが助かったり。一方テヒョンさんは何の説明もないまま僕に任せてって。唐突に始まった本番。

勿論戸惑う、けれど。彼に誘導されるかのように演じた役は私にすんなりとはまったが彼は距離を詰めてくるのが上手で。

マネージャーが耳打ちでBTSには気をつけなさい。と言っていたのを思い出す。

最後の撮影場所で海辺に行った時も、彼がアドリブで。私をカメラで撮り始めては不意に抱きしめられたし。

後になって、さらっと交わせればよかったかもと思ってしまった。

「お疲れ様。(人1)の評判よかったわよ！流石オーディションを勝ち抜いただけあるわ」

『…明日もあるんだよね』

「そう。明日は全体の撮影。今日みたいに時間かからない予定よ。その撮影終わったら打ち上げ行こっか」

『おっ！お酒！』