Pseudo romance (ページ19)

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『ねぇー飲みの席なのに携帯手放さないってどーゆーことー！』

「うるさい！.......はいっ、すみません！.......本当ですか？是非！！」

お酒が不味くなっちゃう。お店に入ってからというものの携帯電話に構ってばかり。その都度、嬉しそうに普段見せない笑顔を私に向けてくる。

はっきり言って不気味。でも話し相手がいなくて、つまらなくて。空いたグラスをぼーっと眺めた。久しぶりのお酒にほろ酔い気味だ。

「.......(人1)！！！！やったわよ！！！」

『.......は？』

「あのPVを見た全国民から、あの子は誰だって問い合わせが殺到してるらしくて！明日急遽番組決まったから」

『え？！.......てか、明日帰るんじゃ「明日から忙しくなるわよ、事務所に寄らないといけないから私は帰るけど、まだ飲む？」

未だ混乱し続ける頭。ほろ酔いぎみな脳みそでは上手く消化できずに、取り敢えず『私も帰る』とだけ言ったのだけど、

タクシーに一人で乗らされて。行先を告げたまま人ゴミに消えていったマネージャー。疲れなんて吹っ飛んだようだ。

「.......あなた日本人ですね」

『え？！.......はい。日本語分かるんですか？』

「韓国には日本の方もよく来られますからね。あまり上手じゃないけど」

運がよくタクシーの運転手は日本語が流暢な方だった。久しぶりに気兼ねなく話せる開放感、あーやっぱり私は日本が好きだなぁなんて思う。

地元での美味しい食べ物や最近のニュース。会話は他人と思えないほど盛り上がりを見せる。ただ、やはり母国を思うと会えない家族を思い出し。感傷的になった。

そんな気持ちを誤魔化すように。ふと信号待ちで停止したネオン街の野外ビジョンに目を向ける。

「あれは、お嬢ちゃんじゃないですか？」

『.......違います』

彼らの人気を思い知らされる。でも、まさか私が、あの大画面に映るなんて。知っていればこんな真似しなかったのに。

思わず、すぐに窓を閉めて。空気を変えようと別の話題をふってみたのだが、

「.......BTSに会ったの？」

『会ってません。』

「誰がかっこよかった？」

『あの、会ったことないですって』

＿＿＿＿会話にならない会話を目的地につくまで繰り広げていた私達。