Pseudo romance (ページ1)

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序章ページ1

＿＿＿＿私が飛び行った世界は、とんでもない場所だった。

・

「大丈夫かしらね、」

『大丈夫でしょ？』

「あー、本当に良かったのかしら」

『何を今更、決まっちゃったんならしょうがなくない？』

出会いと別れの季節、なんて言うけれど。私にとって時間の流れは時に残酷に思えた。

将来の夢は昔から決まって、音楽界を揺るがすアーティストになるんだ！って。あの時は根拠の無い自信に満ち溢れて、世界に認められるスターになるんだって

口癖のように言っていた私。

だからと言って特別才能も技術もあるわけではない。ただ、なんとなく。夢を持つことに憧れていただけ。

口は災いの元。＿＿＿＿そんな浅はかは気持ちだと知りもせず。私の母親は芸能事務所に所属させようと一生懸命になってくれていた。自慢の娘にしたいのか、どうかは別として期待もせず、ただ面倒になっていた私にある日。

((人1)ちゃん！第一審査受かったって！)

衝撃が走る。これはマズイ展開だ、と思いつつ母親の後押しに負けて。どうせ受からないからと半端投げやりで、きっと面接も悪い印象をただ植え付けていたと思う。

このままなんともない人生でいい。

夢に疲れ果てていた18歳の夏、その希望は粉々に砕けちることとなる。

そして、現在。ただ名の知れない役者へとなってしまった。ドラマや映画に少々映るぐらいで家族は喜んでくれるが、

毎日がオーディション。華やかな芸能界の苦悩を前にして挫折する寸前だった。

そんな時、オーディションに受かったとの連絡。正直投げやりでもあった私は何のオーディションだったか分からないまま引き受けたのだが、

マネージャーの様子がさっきからおかしい。

確かにパスポートやら、ビザやら。複雑な手配に苦労したらしいけれど。折角決まった仕事に後ろ向きな彼女は初めて見たかも。

「よくもまぁ能天気で居られるわね。緊張感を持ちなさい」

『…緊張感って、言われても』

「こんな経費掛けてまで事務所が行かせてくれたんだから、結果残さないと！(人1)の役者人生も掛かってるんのよ！」

『…そうだね、そうだよね、.......はい。』

「で、韓国語勉強したんでしょうね？」

『…あ、。本を買ってみた』

「.......。あんたやる気あんの？！これ観光マップっ.......はぁ。」