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side 羽生結弦
「大丈夫か？」
当たり前のことだが、背負っていると猫と顔を合わせずに済んだ。
「すみません」
相変わらず、つんけんどんな返答。
猫は思ったよりもずっと重かった。
そりゃそうだ。
生身の人間だ。人形じゃない。
そう、人形じゃない。
俺が一方的に気持ちをぶつけていい存在じゃなかったんだ。
自惚れかもしれないが、もし俺が猫にあんなことを言ったせいでこんなことになってるとしたら…。
「羽生さん…」
猫のくぐもった声が俺の耳を掠める。
「ん？」
今は猫のどんな言葉でも受け入れるしかない。
「葉月ちゃんと別れるんですか？」
直感でしかないが葉月が猫に知らせたことではないことはわかる。
となると、疑わしいのは
「昌磨から？」
アイツは案外、無神経だ。
猫の気持ちに何年も気づかずあんな風に何度も傷つけて。
でも、猫が正直に昌磨だと言うことはなく黙りこくってしまう。
「まぁ、いいや。別れるよ」
猫は相変わらず黙りこくって話し出すことはない。
「嫌なんだ。お前のことあやふやにするの。ってか、だったらあのタイミングであんなこと言うなって話しだよな」
それに、もう気持ちに気づいた以上、葉月とは付き合えない。
「私ならいいですから。あやふやで」
あまりに投げやりで聞いているこっちが悲しくなる。
「だから、葉月ちゃんと別れるなんて言わないで」
猫には珍しいすがるような声に胸が痛む。
「私、羽生さんが葉月ちゃんと別れたからって羽生さんとは付き合えない」
知ってるよ。
猫は昌磨が好き。
知ってる。
「それに私なんか、葉月ちゃんと別れてまで好きでいてもらうほどの人間じゃないです」
「何、利口ぶったこと言ってんの？」
「羽生さん、きっと今だけの気の迷いです。すぐに私なんか覚めますよ」
覚めるか覚めないかなんて猫に決めることはできない。もちろん、葉月にも昌磨にも。
あるのは自分の気持ちだけだ。
「なんで、そんなに疑うわけ？まぁ、信用しろってほうが無理あるか」
「そう…ですよ」
葉月と付き合ってたくせに都合良く猫が良いだなんて言い出す男だもんな。
信用ならないのはよくわかるよ。
「私は、羽生さんに好きになってもらえるよな、取り柄も性格の良さもありません」
救護のマークが数十メートル先に見える。
猫の顔が見たい。
お前はどんな顔でそんなこといってるんだよ。
「いいか、猫。よく聞け」
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らっき(プロフ) - 完結されてからかなり経ってしまっていますが、読ませていただいてすごく好きな作品になりました。書いて下さってありがとうございます！それだけ伝えたくてコメントしました(*^^*)見てくださるといいなぁ、なんて思ってます！ (2021年12月7日 22時) (
レス) id: 4da1a124c4 (このIDを非表示/違反報告)
めぐみ(プロフ) - 大変お久しぶりです。最後まで読ませて頂きました。ぜひとも、時間があるときで構いません。名前を自分の名前に変換したものを読みたいので、よろしくお願いします。 (2018年9月2日 8時) (レス) id: 058ee396c0 (このIDを非表示/違反報告)
納子(プロフ) - yuccoちゃんさん» ほんとうに読んでいただきありがとうございました！ (2018年4月9日 9時) (レス) id: 21906f0f83 (このIDを非表示/違反報告)
yuccoちゃん(プロフ) - こんばんは！ゆづのドSなセリフにトキメキました！言われたい！サイコーの終わりでした！番外編で続きも読みたいです！ (2018年4月8日 1時) (レス) id: 72d5e5baf7 (このIDを非表示/違反報告)
納子(プロフ) - 鹿さん» いつも丁寧なコメントをありがとうございます。読んでいただけてほんとうに嬉しいです (2018年3月29日 20時) (レス) id: 21906f0f83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：納子 | 作成日時：2017年9月7日 21時
