数年越しの。【りぶ】

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時間ぴったりに来た、Aさん。子供のようにきらきらした目で挨拶をしてくる。こんなに分かりやすい人見たことない…


そして、服これでよかったですかね、と自分の服を見ながら聞いてくる。薄い、黄色のワンピース。



「なんか、馬を食べるのに何を着ようか迷って…」


茶色にすればよかったかな、と、ボケているのか通常通りか。返す言葉を探していると、Aさんは違う話題を喋りだし、いつもの調子に少し安心を感じながら歩く。



店に着き、店員に名前を伝えると、Aさんは驚いて俺を見て、「で、できる…！」とよくわからないことを言う。席に座り、Aさんはメニューを真剣な顔で眺め、これがぜんぶ馬か…と呟く。馬以外も全然あるけどね。



注文をし終えた後も、熱心にメニューを見るAさん。そして、陸さんこれ見てください、と神妙そうにメニューをこっちに見せてくる。



「…ブロッコリーだね。丸ごと？」

「ブロッコリーとか…森ですよね」


ちょっとよくわからない、けどあれ？


「昼間サラダ作ってたよね？」


「ブロッコリーは入れてません。代わりにかぼちゃを入れました」

「…へぇー。嫌いなの？」


「ええ。あれは森なんで」

「森…？」



放送で流してた森のBGMが脳内再生される。お互いに黙っていると、運ばれてきた料理。馬刺しを見て、目を見開くAさん。ほんと表情変わるなぁ。
　

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