百九話 ページ20
口先ではああ言ったが、私はそんなに心が広くないのである。
そりゃ、多少イラつきはしてる。
まあ、仕方ないかぁ………
心の中でため息を吐いて、さっさとレッスン室へ向かった。
レッスン室
Aが来る少し前の事。
「なあなあお前ら！今日、あんずは他のプロデュースが入ってたんだ」
「え？ってことは、ぼくたちのレッスンは誰がするんですか？」
「もしかして、もう1人のプロデューサー……さん？」
「そうそう、確か……」
「田中先輩のことなんだぜ？」
「そういえばそんな名前だっけ？俺、話したことないからわからないな」
「おれもあんまっていうか一回しか話したことないんだけどな。
あんずは他のプロデュースが入ってたし……そいつに頼んだんだ」
「田中先輩に？うーん、別にぼくは構わないですよ」
Aside
「へ、へっくしょん！！」
ん？誰か私の噂してるのか？え、全く嬉しくないな(真顔)
とと、気を取り直して……
深呼吸してそうっとレッスン室の扉を開ける。もう、音がしないくらい。
音を立てずスススッと体を滑り込ませる。
あれ、仁兎先輩たち全く気付かないな。
「あの、私の事見えてます？実は私、知らない間に幽霊になってたとかありませんですよね？」
私が先輩たちの背中にそう言うと、ビクッ！と先輩たちの方が飛び跳ねた。
「だだ、だれらっ！？」
「わぁっ！？田中先輩、いつのまにいたんですか？ぼく、驚いちゃいました……」
「田中先輩、「忍者」みたいだったんだぜ〜！」
「え、もしや噂の田中先輩も変態仮面と同じ傾向……」
なんか1人絶望した表情してるよ。
ちょっとその表情傷つくからやめてもらえないかな？？あと変態仮面とは。
「いきなり音もなく現れるのは流石に気持ち悪かったですか、すみません。
とりあえずtake2します？」
「え？take2なんかいらないぞ？」
「ｱｯ正論……よいしょっと、とりあえずレッスンしますか。
ああ、そういやそこの茶髪？より薄い髪色？くんの名前を聞きたいんですけど……」
「………真白友也です」
めちゃくちゃ引きながらも名前を言ってくれた彼は真白くんだな。りょ。
っていうか、友也って名前、夏樹から聞いたことあったような……
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作者名：サリー | 作成日時：2023年2月4日 14時
