同級生1 ページ3
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目の前で勢い良く折り曲げられた華奢な上半身を目にし、俺は口から情けない声が漏れた
「急にすみません…無理なら全然大丈夫ですので…」
いや、無理というか何というか、全く関わりのなかった人間から急に話しかけられたらそりゃ驚くだろう
その反動が出ただけだ
というか、無理なら大丈夫とかいう言葉を言われると、人間ってもんは罪悪感で受け入れてしまうことが大半なのだ
まぁ…とは言っても、俺はその型にハマる人間ではない
ここはきちんと断ろう
「…なんで俺なんだ?」
いや違うぞ
きちんと断るが、それなりの理由を聞いておこうという俺の紳士な対応だ
相手の気持ちも考えるという素晴らしい対応能力だ
「霊幻さん、凄い頭良いですよね!!テストの順位表でいっつも1位なの見てます!!」
「おう」
「それに、霊幻さんは帰宅部だという情報を聞きまして…いや、何かこの言い方だと霊幻さんが暇だからみたいな言い方になっちゃいますけど…違うんです!違うんですよ?!」
「お、おう…まぁ、帰宅部で暇だっていうのは合ってるし、いいよ」
家に帰ったら大体寝てるだけだからな
「すみません何か…ありがとうございます…え、えっと…その、それに比べて私は…」
そう言って、彼女は手に持っていたファイルから数枚のプリントを取り出し、俺の机の上に並べた
そのプリントに書かれた数字を見て、俺は目を丸くする
「さ、34点…29点…36点…33点……?!」
「あああああ読み上げないで下さい!!」
ババっと周りを確認する彼女だが、放課後の教室であるここには俺と彼女以外誰も存在していなかった
外からは、野球部の掛け声が聞こえてきている
「私、ちゃんと高校卒業出来るか分からんぞって先生に言われてしまって…」
「だろうなこれじゃ…つーかよく進級出来たな」
「うっ」
目を伏せた彼女は、頬を赤らめてテスト用紙をしまっていた
「…勉強…駄目、ですかね」
酷く不安そうな顔をして俺を見る彼女に、俺の心は激しく揺らいだ
…今年で高校も卒業だ。最後くらい人と関わって終わるとしよう
これは別に彼女のためではない。このまま断って彼女が留年をしたとなったら後味が悪いから仕方なくだ。俺自身のためだ
「いいぜ。教えてやるよ」
そう口にすれば、彼女は分かりやすく喜んでいた
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かっち(プロフ) - めっっっっっっっちゃくちゃ面白いです…。なんでしょう、この嫌悪感がなさすぎる夢主ちゃん。最高ですね。霊幻師匠もかっこいいし、最高すぎるし、めちゃくちゃ大好きです。更新待ってます! (2022年11月11日 23時) (レス) @page11 id: 1b6cbbdaba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:坂丸 | 作成日時:2019年2月14日 20時