依存病人【d!】 (ページ4)

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「買い物ぉ？」

「そう、行かない？」

「んー、ごめんね。今日は無理かなぁ」

そっか、ありがとう。と返事をして液晶画面に表示される赤いマークをタップする。短い音ともにホーム画に戻ったのを確認すると、そのまま電源を落とした。
これで3人目だ。いざ有給をば！と思い頂戴したものの、どうしてこうも時間が合わないのだろうか。恨めしげにスマホを睨む。

「はぁ…折角の休みなのに…」

まぁ、たまには1人でブラブラと歩き旅をするのも悪くないか。それらしい理由を幾つか思い浮かべて、自分で頷いた。
そうと決まれば行動あるのみ、幾らかのお金と定期パスを小さめの鞄に入れて何度か確認するとチャックを閉めて外へと出た。

まさに出陣と言わんばかりの気迫のある朝の通勤ラッシュとは違い、長蛇の列も迫真迫る雰囲気もない、程々の人数がいる駅で、そのまま電車へと乗り込んだ。

そこまで多くは無いものの、程々の人数のため、席は空いておらず、そのまま扉付近のパイプが備え付けてある席の隣に立った。

少しの振動と、すぐ様変わっていく景色を見るのが心地よい。

よろけない様に扉付近のパイプを握ると、ひんやりと冷たい金属特有の涼しさが襲った。

何処に行こうかな。

少し壁に背をもたれ掛かるようにすると、空いている片手でスマホを操作し、検索をかける。
おすすめの文字と共に表示される写真をスワイプして、候補をリストに入れる。そのままマップを開くと先程の候補地点にピンを刺した。

その後も数分弄ると用事も終わり、再び電源を落とした。

目的地まであとひと駅。

着くまで外の景色でも眺めていようと足元から窓の方へと顔をあげた、その時だった。

「きゃっ!」

「うわっ!!」

車両内に響きだす多くの人の短い悲鳴と共に、火山でも噴火したような大きな爆発音が響き、すぐさま身体全体が押し潰されそうな強い力に襲われた。

内臓が握られて、今にも張り裂けそうな感覚が一瞬、すぐさま、その圧力は無くなった。今度は重力や抵抗を何も感じない。宇宙にでも居るかのようだ。
思わず目を開けると、何故か座席が上にある。

いや、違う。私が逆さまになっているのか。

何処か他人事に感じていた。こんなことが起こり得る筈がないと、どうして過信していたのだろうか。

同じように空中に浮かび上がっている人々が目に入る。

嗚呼、今宙に浮いてるんだ。

そう気付いた頃には、目の前に頭上にあったはずの座席が迫ってきていて、大きな衝撃と共に目の前で白い火花が散った。