世界の片隅で僕らは出会う。 (ページ5)

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君の瞳に恋なんて usg斎藤ページ5

「A。その話何回目？」

『宏介が興味持つまで話すよ。』

それは質問の答えにはなっていないし、俺はその話に興味を持つことなんてないだろう。

『彼氏が本当に可愛くてさ！！』

あー、もうすっごい聞きたくない。できるなら耳を塞ぎたい。どうして俺がAの彼氏の話を聞かなきゃ駄目なんだろう。
田淵じゃダメなのかな。

田淵なら人の話とか真剣に聞いてくれそうなのに、なんで俺なんだろう。

...そういえばAは田淵が怖くて話しかけられないんだったっけ。

『ねぇ、聞いてんの？』

顔をぐいん、と近づけてくるA。

顔を引きながら、「聞いてるよ」と嘘をついた。
Aは、『ほんとかな～？』と疑いながらも、頬杖をやめて、手を膝に置いた。

『ん～、宏介。少しくらい興味もって？』
不満そうに頬をリスのように膨らませたA。つい、可愛いな、と思ってしまった。

「ごめん、正直どうでもいいって思ってる」

『はぁ～～、、どうでもいいって酷いなぁ"宏介"』

いつもはなんとも思わない名前呼びが気にかかった。

「A。いつも彼氏のことなんて呼んでる？」

『え...、「寺崎さん」って呼んでる...けど？』

なんで。なんで俺の事は名前呼びなのに彼氏は苗字呼び＋さん付けなんだよ。

「なんで彼氏はさん付けなの？同い年だよね？」

『なんか恥ずかしいじゃん。今までさん付けだったから。』

「俺初対面で『宏介くん』だったけど。」

『え～、じゃあ宏介は特別で、』

...特別って何？俺のこと好きなの？違うじゃん。
好きでもない人に、彼氏にもしてない呼び捨ての名前呼びで、「特別」なんて。なんなのそれ。からかってんの？

あー、俺すごい嫉妬してる

『こーすけ、どうかした？』

「ん、なんでもない。よっしゃAの特別第一号いっただきー。」

「誰も第一号なんて」とおかしく笑うAの瞳がとても綺麗だと思った。

...どうして

今までAの瞳なんてどうってこと無かったのに。

【君の瞳に恋なんて】

(あ、私貴雄も下の名前で呼び捨てだった)
(待って、Aって俺より貴雄の方が付き合い長いよね。じゃあ俺第一号じゃ...)
(ないね。貴雄も初対面で「貴雄くん」呼びだった)

最後の最後まで斎藤くんが苦しい。
次はベースさんのどっちか書きます。