第6話 ページ7
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その状態のまま壁に押し付けられ、どんっと音を立てて背中が衝撃を受ける。
じんわりと背中に広がる痛みと、息がしづらい首元。
そして何より、彼の視線が痛かった。
「もううちのマネージャーでもないくせにぐちぐちうるさいんだよ。
また自分を大切にして、とでも思ってるわけ？
…お前にだけは、一番言われたくないから」
及川さんが私のことを良く思っていないことはずっと前から知っていたし、中学の時だってこんな扱いを受けてきたから平気なはずなのに。
1年間、烏野のみんなの優しさにどっぷり浸かっていたせいか、いま、とても苦しい。
及川さんが、怖い。
『……す、みま…せ』
「！」
出過ぎた真似をした私が悪い。
私が悪いんだから、泣くなんて絶対に駄目。
必死に唇を噛み締める。
すると及川さんは、小さく溜息を吐いた後、その手を離した。
「…俺もう行くから」
あと、水道場はそこの角を右に曲がって外に出たらあるから。
そう一言だけ残して、行ってしまった。
私はしばらくの間、動けなかった。
***
それから練習試合をほっぽり出していることを思い出して、慌ててゲロジャージを洗いに向かった。
急いで洗って走って第3体育館に向かうと、既に3セット目が始まっていた。
得点板を見ると、どうやら2セット目は烏野が取っているようだ。
「あっ、A戻ってきた！」
『遅れてすみません！』
スガさんに名前を呼ばれて、慌てて駆け寄る。もう試合は始まっているのだから、進行を妨げてはいけない。
潔子さんが手招きをしてくれたのでその隣に座ると、大丈夫だった？と声をかけてくれた。
その大丈夫、はきっと、遅かったことに対してだということは分かっているのに、どうしてもさっきのことを思い出してしまい、震える手をなんとか押さえつけた。
潔子さんに大丈夫です、と答えながら、コートと相手側のベンチを盗み見る。
そこにあの人の姿はなかった。
『…あれ、及川さんは…』
「及川なら、ついさっきアップしに出て行ったべ」
さすがにさっきの今で顔を見るのはきつかったから、タイミングの良さに感謝した。
気を取り直して、既に試合が始まっているコートの方に目を向ける。
ちょうど大地さんがサーブレシーブをして、綺麗にセッターの頭上へ上がった。
昔からすごいセッターだった影山の(私の中で)高校初セットアップが、すごく気になる。
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ふぃる(プロフ) - あかねさん» コメントありがとうございます！なんて嬉しいお言葉…！！のんびり更新ですが、これからもどうかよろしくお願いいたします(^^) (2020年3月12日 13時) (
レス) id: 57a4697fd9 (このIDを非表示/違反報告)
あかね - めっちゃ好きです。このお話読んでふぃるさんのファンになりました笑これからも応援してます！！ (2020年3月2日 8時) (レス) id: 012863f737 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふぃる | 作成日時：2020年2月7日 11時
