第17話 ページ20
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「じゃあ、また明日ね」
『うう…潔子さん…』
夕飯の準備やら、明日からの練習の準備やらを終えた潔子さんはお家に戻るようで、玄関までお見送りをした。潔子さんがいないのは寂しいけど、先輩にあまり迷惑ばかりかけてもいけないから、私もしっかりしないと。
『…とりあえず、お風呂入ろう』
***
大浴場だからかなり広めの空間で一人、湯船につかることの悲しさよ。
隣の男湯からは恐らく田中と西谷の騒ぎ声が聞こえてくる。もう二年生になって後輩だって出来たっていうのに、あいつらのはしゃぎっぷりはどこからどう見ても一年生だ。
…っていうか一年生もだいぶ問題児ばっかなんだから、もう少し落ち着いてほしい。
「なあ、こっち女湯だろ?」
「…覗くか?」
『はあ!?』
「お前らやめろ!!」
あいつらのばかな声が聞こえてきて、あとで説教一時間コースだな…。なんて思っていたけど、大地さんの怒声とごちん、という痛そうな音が聞こえたので、許してあげようと思う。主将のげんこつは絶対痛い。
『…ふふ』
今この場所にいるのは私一人だけど、あいつらがあれだけ騒いでくれているおかげで、みんなと一緒にいる感じ、一人じゃない感じがする。こういうのを考えると、あいつらのうるささも役に立つところもあるんだなって思う。
少し逆上せてきたしそろそろ出ようかな、と思っていたとき。
窓からコン、という音が聞こえてきた。
浴室の窓は全てモザイク加工がされているからそこに何があるのかは見えない。…夏だし、虫でも突っ込んだのかな。
あまり深く考えてもおばけかな、とか考えて怖くなるだけだから、私はもう上がることにした。
明日はまずロードワークから始まって、レシーブ1人5本、サーブ練など、一日中やることが盛りだくさんだ。
練習の補助は基本的に運動能力の高い潔子さんが付くはずだから、私は今のうちに必要なものの洗い出しや食事の下準備、時間があれば音駒高校の下調べをしてもいいかもしれない。
合宿はとにかくハードだから、マネージャーだってハードだ。特に暖かくなってきたこの時期からのワイピング地獄は凄まじい。与えられた仕事だけこなしたとしてもかなり忙しいが、それだけじゃ駄目だ。
雑食で、色々なものを吸収して勝とうと日々努力しているみんなに付いて行くには、自分から行動を起こして貢献していくくらいじゃないと。
『私も、頑張ろ』
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ふぃる(プロフ) - あかねさん» コメントありがとうございます!なんて嬉しいお言葉…!!のんびり更新ですが、これからもどうかよろしくお願いいたします(^^) (2020年3月12日 13時) (レス) id: 57a4697fd9 (このIDを非表示/違反報告)
あかね - めっちゃ好きです。このお話読んでふぃるさんのファンになりました笑これからも応援してます!! (2020年3月2日 8時) (レス) id: 012863f737 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふぃる | 作成日時:2020年2月7日 11時