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第10話 ページ12

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作り終えたドリンクのカゴを持って体育館に入ると、西谷が1年生にレシーブを教えていた。
スッ、とかサッ、とかポン、とか擬音ばかりでよく分からない説明に、当然ながら1年生(ただし影山は除く)は困惑していた。



『…多分、その説明じゃみんな分からないと思うよ』

「おおっ!Aじゃねーか!!!」

『なんか久しぶりだね?西谷』



私とほぼ身長が同じこいつは、試合中になると誰よりも存在感が大きくなる。その小さなはずの大きな背中で、みんなを守ってくれるんだ。

…西谷が戻ってくるまでに、連れ戻したかったんだけどな。



『西谷』

「なんだ?」

『“元通り”じゃなくて、…ごめんね』



約束したのに。

それ以前に、あの時繋ぎ止めることができなくて、ごめん。
起こってしまったことは変えられないって分かっているけど、それでも謝らずにはいられない。


私が一番、あの人の気持ちを理解できたはずなのに…。



「謝るな、A。お前はなんにも悪いことなんてしてないだろ」

『…うん』



確かに、私が謝ったところで何ができるわけでもない。
今持ち合わせている罪悪感は、ただのエゴで、どこかに消化することもできない。

周囲に沈黙が流れていることに気付いた私は、練習の邪魔をしてしまっていることに気付いた。



『…あっ、すみません!練習続けてください』

「あ、ああ。…次!サーブ練いくぞ!」

「「おおーっス!」」



***



次の日も、練習はいつも通り進んでいく。
西谷が加わったことで、以前より活気も増した。

ローリングサンダーとかよく分かんないけど、回転レシーブを楽しそうに決めていて、特に昨日の私の言葉を気にしている様子はなかったので安心した。

そろそろさっき洗濯して干したビブスが乾く頃かな、と二階の観覧席にビブスを取りに行こうとすると、武田先生が来たため一旦集合となった。



「皆今年もやるんだよね!?GW合宿!!」

「ハイ。まだまだ練習が足りないですから」



去年の合宿は、私が入部してすぐだったから、右も左も分からないような状況で大変だった記憶がある。まだ私も1年生で正直3年生にビビってたし。

話を続ける武田先生は、なんだかニヤニヤして嬉しそうだ。



「GW最終日、練習試合組めました!」

「!!」

「あ、相手は…!?」





「東京の古豪“音駒高校”」

番外編「旭さんが部活を休んだ日」→←第9話



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ふぃる(プロフ) - あかねさん» コメントありがとうございます!なんて嬉しいお言葉…!!のんびり更新ですが、これからもどうかよろしくお願いいたします(^^) (2020年3月12日 13時) (レス) id: 57a4697fd9 (このIDを非表示/違反報告)
あかね - めっちゃ好きです。このお話読んでふぃるさんのファンになりました笑これからも応援してます!! (2020年3月2日 8時) (レス) id: 012863f737 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふぃる | 作成日時:2020年2月7日 11時

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