#2 ページ3
「そうそう凄いね。保存先ファイルはここで大丈夫だよ。」
「普段からネットサーフィンが趣味でよくパソコン触ってんすよ〜」
巧みなパソコンスキルに感心してると
顔の綺麗な彼から発せられる意外な趣味。
他にも１５歳から身長がこのままな事とか、森田さんのいちごマシュマロだけは食べたらダメとか、色んな楽しい話をしていた。
新しい環境で井ノ原部長にずっと緊張を解していて
もらったように、私もできているだろうか？
「Aさんって彼氏いるんすか？」
「私、結婚してるの。」
「え、じゃあその指輪…」
「うん、婚約指輪じゃなくて、結婚指輪だよ。」
「…この会社の人っすか？」
「そう、長瀬くんは会ったことないと思うけど･･･」
資料の保管場所を説明するために歩いていると、
後ろから微かに香るラベンダーの香り。
「博くん！」
「やっほ。Aの姿が見えたから。」
「今日は会議で忙しい？お昼は…」
「うん。一緒に食べれるよ。」
いよっしゃああーー！心の中でガッツポーズ。
博くんに会社で逢えた事が嬉しくてついお喋りしてると
隣で背の高い彼からの熱い視線を感じた。
「もしかして…」
「あ、うん。この方が私の旦那さん。」
「はじめまして、長野です。」
「はじめまして、長瀬です…」
あれ、あれ？二人とも朝の元気はどこにいった？
テンションが低いわけではないけど、微かな怒りというか、機嫌が悪いというか…
その日感じた違和感は過ぎ、数日がたった頃
長瀬くんは完全に業務に慣れ、企画の社員さんとも打ち解けていてとっても素敵な人だなと感じた。
「Aさん！」
自販機にいるところを声を掛けられ振り向くと
なんか、また身長が伸びているような気がした。
「飲み物、奢ります。」
「大丈夫だよ。今財布出したところだから。」
「何が飲みたいですか？」
本来、私が奢らなければいけないはずなのに。
「ありがとう･･･」
「Aさんには、すっげえお世話になってるので。」
二人でジュース片手に談笑。
暖かい春風が窓から吹いて、短い髪の毛が動く。
「インナーの紫のところだいぶ落ちましたね。」
「やっぱ、バレやすくなってるよね…。城島課長とかには内緒だよ？あの人とっても厳しいから(笑)」
「この会社で金髪で堂々と出来んのって、森田さんくらいっすもんね。」
耳元の金髪に、指が伸びる。
なんとなく彼からは、私が博くんに抱えている好意のようなものを向けられている気がしていて 告げられられたくなくて無意識に逃げていたけど、確信に近づく。
「俺、A先輩が好きっす。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 120人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：珊瑚 | 作成日時：2023年1月26日 21時
