#1 Purple story ページ2
「博くんっ」
「わ…」
「ただいま。…どうかな?」
美容院でバッサリ20センチカット。
抜け感のある茶髪の切りっぱなしボブにしてみた
苗字が同じになっても、貴方にドキドキして欲しいから
己の美の努力は怠りたくなくて。
「かわいい…ほんっとに綺麗だ…」
どうやら、博くんの好みドストライクだったようで
顔がとろとろになってる彼を見て、せっかく勝てたのに
やっぱり調子に乗って説明したくなっちゃう子供の私。
「ここめくってみて!ブリーチしてみたの。」
「インナーが、紫になってるんだ。」
「そうそう…って、え!」
めくったまま、刈り上げにキス。
唇が耳元に移動して、息がかかる度ピアスが揺れるから
余計にビクッて、なってしまう
「ふふ、やっぱりAはここ弱いね」
「もう!またイタズラするんだから…」
「刈り上げが愛しくなって、キスしちゃった」
私には分かる。博くんは超がつくほどご機嫌だ。
今日から私はこの会社で3年目になるから
新年度一発目、気分を入れ替えたい意味でもあった。
「Aちゃん、髪切ったね…!」
「かわいいじゃんー!」
すぐに井ノ原部長&三宅さんコンビに見つかる。
「結構バッサリ…え、もしかしてもう離婚?」
「もう、違いますよ!」
「どーせ今朝も髪切ったとかでラブラブだったんだろー」
そして何故森田さんはそんなに全部お見通しなんですか。
最初はいつもの賑やかな部署も、春は毎年忙しくて。部長はすぐ会議に、森田さんと三宅さんは朝から他部署へと席を外している。
「痛ぇっ!」
突然、カエルが潰れたみたいな声がしたから
何事かとドアの方へと視線を移した。
「大丈夫…?」
「俺、めっちゃぶつけちゃうんっスよ…」
いててと頭を抑える彼は
確かに身長が物凄く高くて大変そうだ。
「あれ?スッゲー美人!」
「え?」
「もしかして、貴方がAさん?」
「今度のプロジェクトで人手が足りないから派遣で一人来てもらうんだけどー。Aちゃんの1個下だから、色々仕事教えてあげて欲しいんだー」
と、井ノ原部長が年度末にそんなこと言ってたことを思い出した・・・!
「もしかして、長瀬くん?」
「そうっす!今日から、よろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
「いやー、こんな美人に教えてもらうなんて嬉しいなー!」
何やらどうやら、平穏な部署で波乱の予感……
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作者名:珊瑚 | 作成日時:2023年1月26日 21時