月夜 百四十四夜目 ページ23
レジーではなく、自分はリデルである
そう名乗った銀髪にリボンのカチューシャ、青いエプロンに銀糸のワンピースの少女は、どう見てもレジーだというのに、少女は頑なに認めようとしない
恐らく、彼女がレジーではないというのは本当なのだろう
「えっと、だから、その……なんか、ごめんなさい！」
申し訳なさそうにペコリ、とお辞儀をするリデルに、Playmakerは思わず戸惑った
「い、いや、別に責めてる訳じゃ……顔をあげてくれ」
「い、いえ！わ、私の方こそあの時は気が動転してて……思わず、アナザープログラムを発動させてしまって……す、すみません、今、現実世界にお返ししますね！」
そう言うとリデルはあたふた、と手元に呼び出した操作パネルをたどたどしく操作し始めた
途中、あうぅ、うえぇぇ、などの謎の声が発せられたが、なんとか出来たらしい
「え、えーっと、これでログアウトできる筈です……」
「……あ、ああ？」
「あ、あの、出来たら、私と会ったことを、ネットとかに書き込まないで頂けると嬉しいです……見つかったらスペクターさんやバイラさんに正座一時間お説教コースにいってしまうので……。あ、勿論めりっと……？も、いっぱいありますよ！遊作くんがPlaymakerだなんて、絶対に誰にも言わないので！私達だけのひみ……つ、で……す………。
………え？……Playmaker？」
「……ああ、そうだ。今気づいたのか？」
【今更何やったって遅いぜ！アナザープログラムとやらは既にお前が解除済み……「じゃ、じゃあ貴方がプ、Playmaker！？本物！？本当に本当の本物！？偽物とかじゃない！？」……そうだぜ！何故なら、この天才AIことAiちゃんは世界でたった一体なんだからな！】
そうAiが叫ぶと、リデルは慌てたようにPlaymakerに背を向けた。そしてアイテムボックスを呼び出し、ナニカをそこから取り出す
「あ、あの、ちょちょちょちょっと待っててください！ろ、ログアウトしないでくださいね！」
【……なんだよ。まさかお前、ウイルス爆弾なんか仕掛ける気か！？】
「ししししませんよ！そ、そんな危ないもの！」
ゴソゴソとアイテムボックスを探り、リデルはとうとうお目当ての物を見つけたようだ。ナニカを抱えて、リデルはPlaymakerの元へと走り……
「……あ、あ、あの、Playmakerさん！
あ、あ、貴方のファンです！サインしてください！」
一冊の、スケッチブックを差し出した。
「【……はっ？！】」
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作者名：瑠伊亞 | 作成日時：2019年5月18日 21時
