【遊戯王VRAINS】闇に紛れた月Ⅳ (ページ16)

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月夜百三十七夜目ページ16

未月 side

ーーゆっくりと、閉じていた瞼を開く
まず視界に飛び込んできたのは、此方を覗きこむ真っ赤な瞳だった

『あ、起きた？』

真っ赤な瞳の持ち主が、楽しげに笑う
本当なら驚いて後退りする、などの行動を取るべきなのだろうが、残念なことに今、私にそんな事をするほどの瞬発力はない

辺りを見渡すと、そこは白い部屋だった
光源らしきものは何処にもないのに妙に明るく、天井と壁と床の境目がなく、何処までも広がっているのか、と勘違いしそうなほどだ

「……ここ、って」

『いやー、まーた此処に来るだなんて、君ってやっぱり物好きだよね。

そーなんです！君がこの前来たばっかりのお部屋なんです！どう！？驚いたでしょ！？結構リニューアルしたんだよ！？』

真っ赤な瞳の持ち主は、ぐるぐると私の周りを回りながら、キャッキャッとはしゃぐ

ーー濃い青の髪に真っ白なふわふわとしたTシャツ、黄色にピンクの線が入ったプリーツスカート、黄色の肩掛けに真っ赤なリボン

まったく、見覚えの無いアバターだ

「……あな、たは」

『んー？まだ思い出せない？』

くるくる回るのをやめ、ニタニタと笑みを張り付けながら、ソレは笑う

「私は、お前なんか、知らない」

『……あ、そっか。君はそうだったね。君は忘れるのを願ったから。……あー、それならしゃーないわ。うん。なんか、ごめんね。ま、とりあえず座りなよ』

苦笑いをして頬をポリポリと掻くソレの隣には、いつの間にか真っ白なテーブルクロスの引かれたカフェテーブルと椅子がセットされていた
テーブルの上には何も乗っていないケーキスタンドと空っぽのティーポット、花の生けられていない花瓶が乗っている
私は辺りを警戒しながら、椅子に座った

「……で、何で此処にあなたが居るのよ。私をどうしようっての？」

『まーまー。とりあえずお茶会でもしよーよー。今日はねー、えっと、【謚ｹ闌ｶ縺ｮ繝代え繝ｳ繝峨こ繝ｼ繧ｭ】のセットだよー。……おっと、君には見えないんだっけか。ならお茶会も何もないな。よし、本題に入ろう！

えー、浅葱未月。いえ、本名十五夜未月さん。朗報です。君は今、君の記憶を消した復讐相手の目の前に立っています。
そしてこの部屋には、様々な凶器や器具が存在します。

つ・ま・り！！

君はこの部屋でわたしに復讐し放題！
此処は誰も君の復讐を止めない、咎めない楽園です！

さあさあ、君はどーするー？』

「……はっ？」