五十、敢えて ページ6
『【匣】ってぇとあれか。前
研究内容は、確か……』
「____人工異能の開発」
端末の向こうで、中原くんが厳しく眉を寄せたところがありありと想像出来た。
空気が険しくなるのも当然だろう……何せ、彼も七歳より前の記憶がない、人工異能【汚れつちまつた悲しみに】の使い手だ。
『……A。いきなりなんでそんなモンを調べようと思った?
手前もポートマフィアに居た時に、首領に頼めばリスクを冒さず、自分で情報を見られたかもしれねぇだろうがよ』
「判ってて云ってるんですか、それ。……前首領のお抱えのものを、あの森さんがわざわざ情報をわたしに開示するわけないでしょう」
森さんは治と結託して、夜闇の王を殺した。
それが公になることを恐れている筈だ。
「それに、あの時は別に調べようとも考えなかったですし、それになにかに気がついても治に阻まれたでしょうし。
治が幹部でなくて、中原くんが幹部の今が好機なんです。……やるなら今しかない」
『はァ? ……そりゃどういう事だ』
「……中原くんも知ってますよね。わたしの両親が死んで、わたしだけが生き残った『一家心中未遂事件』」
『……手前がポートマフィアに引き取られることになった、七年前のアレか』
確かに太宰もンなようなことを調べてたような、情報をいじっていたような気もしてきたな、と彼が端末の向こうで呟く。
……矢張り関係がある。間違いない、治はあの事件の何かを隠したいんだ。
そして父か母が一家心中をはかったのは、その【匣】が原因____。
わたしが今までの推測……例のミミック事件の際に特務課とマフィアが結託して事件の情報を隠匿しているかもしれない……ということを中原くんに話すと、彼はそうか、と云った。
『……いいぜ。別に首領から何かを止められてる訳でもねぇし、協力してやる……手前にもいろいろ借りがあるしな』
「中原くんに悪戯を仕掛けようとする治をよく止めてたこととかですか」
『云うな手前』
別に隠さなくていいのに。
『……こりゃ俺の推測だが、首領もいろいろ判ってでやってると思うぞ
「え? ……どういうことですか?」
『太宰が隠したいと思ってることを、首領はおそらく判ってる……が、あの人は手前が接触してきそうな俺に口止めしなかった。
きっと敢えて彼奴に隠匿に協力する気はねぇんだよ……青鯖は少なくとも、裏切り者な訳だしな』
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さにー☆彡(プロフ) - りささん» 互いの『最優先』を尊重する、あるいはこの2作の内容全てといったところでしょうか…(文法に違和感を覚えるのはそういうものとして御海容下さいませ…) (2021年5月18日 11時) (レス) id: 6034bec340 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 最後のところの『それ』って何なんでしょうか? (2020年5月18日 16時) (レス) id: 486a37f744 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - ゆきさん» ありがとうございます!!設定や中身まで楽しんで頂けたようで何よりです!! (2019年7月31日 18時) (レス) id: 6034bec340 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 設定、話の内容、文才、全てが素晴らしくて、読んでいてとても楽しかったです。作品様すばらしいです…!!ありがとうございました。 (2019年7月31日 17時) (レス) id: e69c1b6ddb (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - ゆずみかんさん» ありがとうございます……!!主人公がやばくてすみません……!こいつ大丈夫かと何度も思われたことでしょう申し訳ない← こちらこそこの作品を最後まで読んでくださりありがとうございました!!コメントすごく嬉しかったです…! (2019年6月6日 8時) (レス) id: 6034bec340 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sunny | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1
作成日時:2018年9月7日 14時