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温かいシャワーを浴びて、汚れを落とす。
頬に付いた優の血が、
床に滴り排水口へと流れていくのを見て、
胸を詰まらせた。
そしてまた、吐き気が込み上げてきた。
しかし胃は空になったのか、
口からは何も出てこなかった。
シャワーが流れる。
汚れが落ちて、
綺麗なったはずなのに、どこか落ち着かなかった。
まだ何かが背筋を這っている。
まだ何かが自分を舐め回す様に見ている。
「…っ……」
身を震わす。
取り戻した記憶は、
憎悪より、恐怖を生み出していた。
『殺すな』
優が言った言葉は、
きっとそういうことなのだろう。
憎むのではなく、怯え、
殺意の抑制として、トラウマを遺した。
記憶を抜いていたのは、
幼い頃からあの記憶を抱えていれば、
きっと院長を殺していたのは優ではなく、
他でもない自分になるからだ。
彼は、私が壊れるのを必死で側で止めていて、
私が犯そうとした罪を被ったのだ。
あの時、腕が溶け落ちた男はどうなっただろうか。
銃に変化した腕に触れた瞬間、
骨と肉と神経が溶け落ち、
赤黒い色をした液体が地面に滴っていた。
自分の意思で、人を傷つけた。
優を殺した仇、とは、もう思えなかった。
自分や優にしてきた暴力を、
自分がしたのだと、記憶が戻って初めて気付いて、
恐ろしくなった。
醜い。
私はどんな顔をしていただろうか。
どんな顔を彼に見せてしまっていただろうか。
最期に見た顔が、醜くて汚い表情をした、
私だったなんて。
「……だいじょうぶ、だいじょうぶ、
約束は守るよ、誰も殺さないから……」
我が身を抱いて、自分に言い聞かせる。
これは決意じゃなくて、義務だ。
彼の望む善になろう。
人によって違う正義じゃなくて、
全ての人に等しい善になろう。
赦して、手を差し伸べて、救って。
何をされても、私は憎んではいけない。
とむらくんが誰を殺しても。
誰かが自分を否定しても。
誰かが、私の愛する人を、殺しても。
矛盾の中で生きて、
苦しんで、辛くても。
手を汚さない限り、
誰かを傷付けない限り、
きっと綺麗なままでいられるから。
生温い水が頬を伝い首筋へと流れた。
だから、それでいい。
トラウマが彼女に纏わりついて、
どんなに恐ろしくても、
あの人は、多分、
矛盾の塊になった私でも、受け入れてくれるから。
今まで誰も、信じることができなかったけれど。
あの人なら、大丈夫だ。
貴方を愛した、それだけで。
私は十分、幸せだ。
彼女は、微笑んだ。
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maro(プロフ) - こういう弔くんの夢小説を探していたんです......!!!見事にどっぷりハマりました👍🏻 ̖́-︎続きを気長に待ってます！！ (4月12日 14時) (
レス) id: 89c84e5ca3 (このIDを非表示/違反報告)
もあ(プロフ) - すごい考えられた話で たまげました！とむとむのこうゆうお話あまり無いのですが、どストライクすぎて何回も読ませていただきました🥰お忙しいとは思いますが、続きを楽しみにしています！ (8月16日 20時) (レス) id: 595898a75e (このIDを非表示/違反報告)
ノア - わぁぁ！めちゃくちゃ続き気になります！！夢中で読んでしまいました！笑続き待ってます！ (2022年7月13日 14時) (レス) @page44 id: da656baae2 (このIDを非表示/違反報告)
Yo - 読んでめっちゃドキドキしてました！！ゆっくりでいいので続き楽しみにしています(^^)更新頑張ってください！ (2022年3月12日 23時) (レス) @page41 id: b7d6e0178a (このIDを非表示/違反報告)
華羅夢(プロフ) - えぬえさん» 返信遅れて申し訳ないです…🙇♀️ここまで至るに随分時間がかかってしまい…亀更新なのに読んでくださり感謝しかないです…！コメントは力の源…！頑張ります💪 (2022年1月1日 1時) (レス) id: 89a4c751b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華羅夢 | 作成日時：2021年9月17日 10時
