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「A、起きろ」
「…………ん、」
虚ろな表情で彼女は返事をした。
優しく肩を揺すられ、身体を起こす。
油の匂いがする。
潮の匂いと混ざって、独特な香りだ。
どこかの倉庫だろうか。
「身体痛めてないか？
長時間車だったからな。もう昼だ」
焦点の合っていない目で優を捉えて、頷く。
「立てる、訳ないか。
抱えるぞ、捕まれ」
両腕を優の首に回す。
案外簡単に持ち上げられて、
成長したんだな、とぼんやりと思った。
「ここからは車で行けないんだ。
港まで歩かないと行けない。
船に乗ったら、ちゃんと意識は戻すから安心してくれ」
額に口付けられる。
温かく感じて、うん、と頷く。
満足そうに笑った。
歩き出して、日差しが顔にかかり、
眩しい、と目を細めた。
「そこまでだ！」
男の声がした。
典型的な台詞に、ヒーローだ、と感じた。
「やっと見つけたぞ！
雄英女子生徒誘拐犯め！」
優は振り返る。
驚愕が顔に張り付いている。
「は、何で」
信じられない、と言わんばかりに目を見開いた。
敵の中で国外行きの船の情報が回っていたとしても、
ヒーローに伝わるわけがない。
「まさか、騙したのか、あの人、」
唇を噛み締める。
ヒーローに情報を漏らした？
それとも、船の話すら、嘘か？
「くそ、A」
頭に手を置いた。
意識が覚醒し、彼女はぱち、と目を開く。
「ゆうくん？なに、これ」
戸惑いながら問い掛ける彼女に、
返事は出来なかった。
抱き上げていた彼女を立たせ、
手を握った。
「逃げるぞ、走れ」
え、ちょ、と言いかける彼女の手を握りしめて、
全速力で駆け出す。
「逃がすか！」
「っ！」
後ろを振り向くと怒りの形相をしたヒーローの姿。
彼女は驚いて目を見開いた。
ヒーローの顔は、
何故か憎悪に満ちている。
怒りの炎、というよりは暗くて醜い憎悪の気配がする。
ヒーローは追い掛けず、
地面を踏みしめて、何かを構える。
「俺の息子がお前のせいで、足が無くなった！」
ヒーローは唐突に叫んだ。
彼の手が銃器に変換する。
機関銃、と言えるくらい大きな武器だ。
ヒーローの顔は悲壮とも憤怒とも言える表情だった。
ヒーローは機関銃を構え、
彼女と優に向けて撃ち始めた。
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maro(プロフ) - こういう弔くんの夢小説を探していたんです......!!!見事にどっぷりハマりました👍🏻 ̖́-︎続きを気長に待ってます！！ (4月12日 14時) (
レス) id: 89c84e5ca3 (このIDを非表示/違反報告)
もあ(プロフ) - すごい考えられた話で たまげました！とむとむのこうゆうお話あまり無いのですが、どストライクすぎて何回も読ませていただきました🥰お忙しいとは思いますが、続きを楽しみにしています！ (8月16日 20時) (レス) id: 595898a75e (このIDを非表示/違反報告)
ノア - わぁぁ！めちゃくちゃ続き気になります！！夢中で読んでしまいました！笑続き待ってます！ (2022年7月13日 14時) (レス) @page44 id: da656baae2 (このIDを非表示/違反報告)
Yo - 読んでめっちゃドキドキしてました！！ゆっくりでいいので続き楽しみにしています(^^)更新頑張ってください！ (2022年3月12日 23時) (レス) @page41 id: b7d6e0178a (このIDを非表示/違反報告)
華羅夢(プロフ) - えぬえさん» 返信遅れて申し訳ないです…🙇♀️ここまで至るに随分時間がかかってしまい…亀更新なのに読んでくださり感謝しかないです…！コメントは力の源…！頑張ります💪 (2022年1月1日 1時) (レス) id: 89a4c751b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華羅夢 | 作成日時：2021年9月17日 10時
