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「……」
意識を落として沈黙した彼女を見届けると、
手元にある瓶を見た。
中には、瓶一杯に紅く光るビー玉がある。
全て、彼女の記憶の破片だ。
それをきちんと懐に戻した。
優は車を止めて彼女の鞄を漁った。
携帯を見つけ、電源を落とそうとした。
ぴこん、と電子音が響いた。
『始業始まってんぞ』
誰かからのメッセージの様だ。
『何で学校来ねえんだよ』
『なんかあったんか』
『なあ』
『返事しろよ』
「……」
優は電源を落とした。
窓の外へと放り投げる。
念入りに調べ、
鞄の底や靴底にも電子機器があった。
随分な監視だ。
これじゃあ唯の縛りだろう。
ばき、とその電子機器も割る。
一通り彼女の持ち物を探り終わり、
息を吐いた。
向かう先は廃墟と化した港町だ。
敵が非合法に国外に出るための船が出る場所だ。
2時間後には着くだろう、
と優は彼女を楽な体制で寝かせながら考えた。
頭の下には上着を枕がわりにさせる。
ん、と身動ぎする彼女を見て、頬を撫でた。
「……A、」
優の個性は、『記憶操作』だ。
対象者の頭に触れることで記憶を抜き取り、
偽物の記憶を植え付けることが可能だ。
勿論戻すことも可能だし、
数時間、数日間の記憶をあやふやにも出来る。
今彼女の記憶は抜き取った訳でなく、
混濁している。
『とむらくん』
敵連合の、
そもそも悪の根源みたいな奴の名前を彼女は呼んだ。
それも、大切な名前を呼ぶ様に。
何故だろうか。
やはり、あの時も記憶を抜いてしまったから、
生まれたての雛が親鳥だと刷り込まさせるように、
死柄木を頼れる存在だと勘違いしたのだろう。
彼女の記憶から『死柄木弔』の記憶を抜き取れば、
帰らないと、だなんて言わなくなるだろう。
頭を撫でようとして、その手を止めた。
「何で、お前は俺を選んでくれないんだ」
その手を握り締めた。
俺じゃなくて、
目の前の怪我をした子供を。
施設にいると言うトラウマを抱えた子供を。
本当に、優しすぎる。
孤児院だって、
暴力を振われる優以外の子供達も庇ってしまう。
だから何度も記憶を奪って、
何度も辛そうな顔を掻き消した。
そんな彼女に取って、
幸せな記憶は、大切なものだ。
自分のためにその記憶を奪うのは、
酷く、億劫だった。
「………はあ、」
頼むから、目を覚めたら、
せめて否定することは、しないでくれ。
彼女の頬を撫でた。
「好きだ」
どうしようもなく、優しいお前が。
誰よりも善良で、綺麗なお前が。
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華羅夢(プロフ) - ぽいぽいさん» 何ですって！！ぜひ死柄木くん推しになってくださいな！！彼は魅力的な男です！！コメント嬉しいですありがとうございます････！ (2021年9月19日 8時) (
レス) id: 89a4c751b5 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいぽい(プロフ) - この作品で死柄木くん推しに傾きつつある…好きです応援してます頑張ってください!（ノンブレス） (2021年9月19日 7時) (レス) id: 1142a6ee8a (このIDを非表示/違反報告)
華羅夢(プロフ) - れのまるさん» うわああありがとうございます･･････！コメントが1番のモチベになるのですごく嬉しいです！頑張りますね！ (2021年9月14日 14時) (レス) id: 89a4c751b5 (このIDを非表示/違反報告)
れのまる - 死柄木さん最推しなのでこの作品めっちゃ好きです…！これからも応援してます！ (2021年9月14日 7時) (レス) id: ce403bbca4 (このIDを非表示/違反報告)
華羅夢(プロフ) - しいたけさん» しいたけさん、もしかしなくても2回目のコメントですか･････････？コメント来るのが1番嬉しいので、大喜びで話を書いてしまいました！楽しんで頂けて何よりです！！ありがとうございます！ (2021年9月11日 10時) (レス) id: 89a4c751b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華羅夢 | 作成日時：2021年8月23日 1時
