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心操side

「あ」
「あ、ひとしくん、」

2日後の昼休みに、廊下で会った。

一昨日の特訓は彼女にとって久しく、
身体を休めるのも大事だと相澤に言われ、
昨日は会っていなかった。

食堂に向かう途中らしい。
彼女の周りを囲む女子が、心操に声を掛ける彼女に聞いた。

「だれだれ〜知り合い?」
「帰り危ないからって、一昨日送ってもらったの」
「え、何で爆豪じゃないの」
「何でって…、
 かつきくんは鋭二郎くんたちと帰るじゃない」
「それまじで言ってる?」
「先が心配ですわね…」


周りの女子達は大きなため息を吐いた。
彼女は困ったように笑うと、心操に紙袋を握らせた。

「ちょうど良かった。これ渡しに行こうと思って」

白い紙袋だ。
開けると、クッキーが入っている。
少し崩れてはいるが、形はぜんぶ一緒。


「ねこだ……」

「ひとしくんねこ好きって言ってたから、
 みんなが一生懸命作ったの。
 ひとしくんが良ければ、
 またお誘いしてもいいかな」

ふわ、と微笑むこの微笑で、
何人の男がやられただろうか。

彼女ではなく施設の子供たちが、
心操に会いたいと言っていると分かっていても、
心操に彼女へ恋愛的な意味の好意が無くとも、
こういうのは色々不味い。

「おれでよければ」

返事をすると、
よかった、と笑い、じゃあまた特訓で、
と言って女子達の輪に戻って行った。

白い紙袋に入る猫型クッキーと、
彼女の背を交互に見て、

「魔性だな…」

と呆れたように呟いた。





「A!!」

びっくりして振り返ると、
爆豪が1人で立っていた。

麗日や耳郎が爆豪を見てにやにやと笑い、
ぐい、と背を押して彼女は爆豪に向き合わされた。


「お、来た来た」
「じゃあ私たちは失礼〜」

「変な目で見てンじゃねえ!!!」


爆豪は怒鳴って威嚇した。

数ヶ月経っても他クラスは爆豪のことを少し避けている様に見えるのに、
A組のクラスはむしろ爆豪を弄り始めている節がある。


女子達も楽しそうに逃げていき、
どうしたの、と微笑んで彼女は尋ねた。


「飯行くぞ」

「え、ごはん?」


思わず聞き返す。

「…それ以外何があンだよ」

拗ねたような顔をして不満げに爆豪は言った。
爆豪からご飯の誘いだなんてされたことがなくて、
また聞き返してしまう。

「それって、お昼誘ってくれてるの」

「悪いかよ」

「ううん、行く。ありがとう」

彼女が返事をすると、爆豪は満足気に背を向けた。
彼女は歩き出す爆豪の背を追った。

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設定タグ:ヒロアカ , 死柄木弔 , ヤンデレ   
作品ジャンル:アニメ
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華羅夢(プロフ) - ぽいぽいさん» 何ですって!!ぜひ死柄木くん推しになってくださいな!!彼は魅力的な男です!!コメント嬉しいですありがとうございます・・・・! (2021年9月19日 8時) (レス) id: 89a4c751b5 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいぽい(プロフ) - この作品で死柄木くん推しに傾きつつある…好きです応援してます頑張ってください!(ノンブレス) (2021年9月19日 7時) (レス) id: 1142a6ee8a (このIDを非表示/違反報告)
華羅夢(プロフ) - れのまるさん» うわああありがとうございます・・・・・・!コメントが1番のモチベになるのですごく嬉しいです!頑張りますね! (2021年9月14日 14時) (レス) id: 89a4c751b5 (このIDを非表示/違反報告)
れのまる - 死柄木さん最推しなのでこの作品めっちゃ好きです…!これからも応援してます! (2021年9月14日 7時) (レス) id: ce403bbca4 (このIDを非表示/違反報告)
華羅夢(プロフ) - しいたけさん» しいたけさん、もしかしなくても2回目のコメントですか・・・・・・・・・?コメント来るのが1番嬉しいので、大喜びで話を書いてしまいました!楽しんで頂けて何よりです!!ありがとうございます! (2021年9月11日 10時) (レス) id: 89a4c751b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:華羅夢 | 作成日時:2021年8月23日 1時

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