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〜オクタヴィネル寮〜
ジェイド「………… アズール、フィルには、普段通り接した方が良かったのでは?
あの様子だと、きっと自分を責めていますよ?」
金庫の中の整理を終えたアズールに、ジェイドは怪訝そうに声を掛ける。
アズール「………… 仕方ないでしょう。
フィルを護る為には、もっと僕自身が力をつけなくてはいけなかったんです。
お陰で、たくさんの契約書を取りつけることが出来ましたし、僕も、たくさんの【担保】を得ることが出来ました。
全部、フィルを護る為です。」
フロイド「………… ま、フィルに嫌われたら全部水の泡だけどね。」
フロイドの一言に、アズールは思わず机を叩いて怒りを露わにする。
フロイド「俺、間違ったことは言ってねぇと思うけど。」
アズール「………… 僕が、間違っていると?」
ジェイド「………… いいえ、ですが、フィルを蔑ろにしては本末転倒ですよ。」
アズール「分かってますよ!!」
そう叫びながら、アズールは自室へと戻ってしまう。
フロイド「…… オレ、難しいことはわかんねぇよ。
アズールが必死に金貯めてるのってフィルをこっちに連れてくるためでしょ?
その為にもっと金が必要だから二号店としてあのオンボロ寮を奪う。それが、フィルの為なんでしょ?」
ジェイド「………… 少なくとも、アズールはそう思っているみたいですね。
本当に、最悪の事態にならなければ、良いのですが。」
********
アズール「……………… クソッ、」
部屋に戻ったアズールは、小さく怒りを吐き出した。
自分の行いは、全てはフィリウスを護る為。
その為に、どんな手段も使う。そう心に決めていたはずなのに。
下僕を集めていたあの部屋に、フィリウスが居たのを認識した瞬間、自分の愚かな行動に気が付いてしまった。
フィリウスの、あの軽蔑した瞳が、憐れむ瞳が、
何より、フィリウスから【笑顔】を奪ってしまった事実に、混乱してしまった。
そして情けないことに、全てはフィリウスの為と謳って、自分を正当化することを選んでしまった。
アズール「……………… そんな事、僕が一番わかってるんだよ……ッ!」
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作者名:アルビリオン | 作成日時:2020年6月7日 12時