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すると、マレウスさんは私の身体を横抱きにする。





マレウス「君が心を病む時は、必ず同郷の者が関わっているね。




という事は、アーシェングロットが今年もおかしなことをしたんだね。」




心を見透かされ、誤魔化すことすら出来ない。





フィリウス「……………… あんな人、私の知ってるアズールじゃない。」






きっと、こう思っている事が思い違いなのはわかってる。










だけど、本当に私の知っているアズールなら、あんな事、する筈が無い。






フィリウス「………… 私、怖いんです。










もしかしたら、私の知ってるアズールが、もう存在しないんじゃないかって。



もう、アズールには、わたしはひつようなくなったんじゃないかっ、て、…… 」







ポロポロと勝手に溢れてくる涙は、言葉を吐けば吐くほどたくさん溢れてくる。







マレウス「…… 嗚呼、泣かないでおくれ。





君の涙を見ていると、僕も胸が苦しいよ。」







そう言いながら、マレウスさんはたくさん抱きしめてくれる。




私は、離れていってしまった彼らと、どう向き合ったらいいのか分からず、ただマレウスさんの腕の中で泣いていた。







*******





ふと気がつくと、そこはマレウスさんの部屋のベッドだった。








嗚呼、泣き疲れてしまったんだな。






そう思い、窓辺に立ち、煌めく夜空を眺める。






………… 何も、考えたくない。何もしたくない。









誰にも、会いたくない。







【あの日】の様に、【狭い壺】の中で引き篭っていたい。
















……………… あ、れ?




今、……………… 何で、壺の中に引き篭もりたいだなんて、思ったんだ?






私、そんな狭いところに入った事すらないのに。











急に、頭にノイズが走る感覚がある。








まるで、【誰かに入り込まれている】様な気分になる。







私の知っているものとは、【違う景色】が見える。









こんな事、前にも、あったような………………








…… だめだ、きっと気が動転して疲れているんだ。









………… もう、何もかも忘れてしまおう。

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作者名:アルビリオン | 作成日時:2020年6月7日 12時

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