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すると、アズールは俺になにか違和感を覚えたのか、慌てたように眼鏡をかける。
アズール「………… っ、フィル、貴方、…… 髪が、」
フィリウス「鬱陶しいから切った。
文句あんの?前の方が良かったって?」
皮肉混じりにそう言うと、アズールは焦ったように首を横に振る。
アズール「まさか、とても似合ってます。」
ハッ、褒めれば良いってもんでもねぇけどなァ。
フィリウス「ほら、さっさと着替えろよ。
制服はそこに置いてある。俺は双子の様子を見てくる。」
そう言い残し、俺はリーチ兄弟の元へ行く。
フロイドが阿呆みたいに朝が弱いからなァ。あれも起こしてやらねぇと。
えっと、確かアイツらの部屋はここ、だよな。
一応ノックをすると、ジェイドの返事が聞こえた。
そのまま中へ入ると、予想通りまだぐっすりと寝ているフロイドと、それを起こすのに手を焼いているジェイドの姿があった。
フィリウス「大変そうだなァ。」
そう言うと、ジェイドはこちらを見ながら何かを訴えるような瞳をする。
ったく、いくら仲が良くたって、兄弟じゃねぇんだから無言の威圧で考えが分かるわけねぇだろうが。
そんな事を思いつつも、取り敢えずジェイドの傍へよる。
フィリウス「どうした?手伝って欲しいなら言えばいい……」
言葉の途中で、ジェイドは突然俺の身体を抱き締めてくる。
ジェイド「………… フィル、今、欲しいものを提示しても?」
えぇ、このタイミング?性格悪いなァ。
フィリウス「…… まあ、別にいいけど。
何が欲しいんだよ。」
少しぶっきらぼうに聞くと、ジェイドは俺の身体をフロイドが寝ているベッドに座らせる。
……………… やっぱり性格悪い。
ジェイド「貴方が、………… 欲しくて欲しくて堪らないんです。
昔から、貴方はアズールに構ってばっかりで。その次にフロイド。
いつも、僕のことは後回し。」
少し寂しそうで、少し怒ったようなその瞳は、小さく揺れているように見えた。
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作者名:アルビリオン | 作成日時:2020年6月7日 12時