【ツイステ】無力な海の王子様【男主】 (ページ16)

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私は、先程のことを全て忘れるかのように、マレウスさんの待つ部屋へと向かっていた。

その道中、ふわりと優しい匂いがする。

フィリウス「………… ここまで、迎えに来てくれたんですね。」

そう呟くと、目の前にマレウスさんが現れる。

マレウス「……………… どうやら、拒絶を選んだようだね。

そうか、それ程までに、アーシェングロットは君に嘘をつきたがったのか。」

フィリウス「…… その名はもう聞きたくありません。

それに。もうどうでもいいんです。何もかも全て。

私は、もう貴方しか信じられない。私に嘘をつかない、貴方しか………… 」

そう言って、私は彼の頬を撫でる。

彼はすごく驚いたような顔をしていた。

フィリウス「…… もう、何も考えたくない。

ねえ、私は今、壊れていますか？」

そう言うと、彼は苦しそうに私の頬を撫でた。

マレウス「……………… 嗚呼、残念ながら。」

フィリウス「…… ふふ、やっぱり嘘をつかないんですね。

……………… やっぱり、貴方しか信じられない。」

そうして、私は全てを拒絶したように、意識を手放した。

*******

マレウス「……………… やれやれ、美しかったはずの彼が、こんなにも薄汚れてしまった。

魔力を使っていない筈なのに、このブロットと似た現象は一体……… ？

それに、もしこのまま彼が心を閉ざし、世界を拒絶し続けてしまったら、彼はもう戻れなくなってしまう。」

僕は彼の身体を抱き締め、ベッドへと優しく寝かせる。

嗚呼、まるで眠り姫の様だ。

でも、君はいつか目覚めるだろう。

だって、君は【姫】では無く、【王子】なのだから。

さて、人の子に手助けでもしてやるか。

それが後に、彼の為になると信じて。