参拾壱ノ話 ページ37
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多分電車の上で倒れてるであろう。本来の私はね。
で、今目の前に師匠がいてげらげら笑ってる訳だ。
完全に夢の世界か……強制昏倒睡眠・眼と言う血気術にかかったぽいな…。
現実と夢の区別が付くように左手を刺したはずだが、その左手は今は全く痛くない。
(Aー、あんたも私のとこ来いよ)
『行ってやるよ……あんた今何処に居るの』
(死んだと思ってんの?)
『死んだのかもしれないし、生きてんのかもしんないけど。どちらにしろあんたが居る所。居た所には行きたいんだよ』
(今私は目の前にいるのにか)
『だって、師匠はあんたじゃない』
私はそう言うと、自分の首を撥ねた。
魘「あぁ…起きちゃったの」
『二人はまだ寝てるか……』
左手から多少の血が流れ、電車の上に乗っている。これが現実の方だな。
今、義勇さんと無一郎は現実と夢のはざまで足掻いているんだろう。
正直、さっきみたいに叩き起しても良いんだけど。自力で起きないと。この鬼には勝てない気がする…。区切りも付けられるしね。
『私一人で倒すよ』
魘「ん〜それは困るね」
『師匠に逢えたのは嬉しかったよ…ありがと、じゃーね』
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魘「……え…………?」
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私が刀を仕舞う、キンっという音が響き渡った時。魘夢の首は既に。
車両の上に落ちていた。
『雨の呼吸…陸ノ型 感涙の甘雨』
自分がなぜ慈悲の技を使ったのか分からない…けど。
魘夢が泣きながら消えていくのを見ると、使ってもよかったんだろうと思える。
鬼は、元は私達と一緒だったんだから………。
魘「何という素晴らしき美夢……」
そう言って、消えていった魘夢に。
同情などする余地もないが、そっと手を合わせ目を瞑った。
義勇さんと無一郎は、その五分後夢から出てきたようだがだいぶ精神を消耗したっぽいな…。
二人とも、壮絶と言える過去を持っているから…ね。
時「ごめん……全然役に立たなかった」
冨「すまない…」
“気にしないで”そう発しようとした時に感じた脅威の気配。
魘夢よりも強い。忘れることの無い鬼舞辻の匂い。
この状況下でやけに落ち着いた心音。
空気が歪む感触。
私の視線の先に映るのは、厭らしく口角を上げた私達と異なる者。
『本番は……こっからみたい…………ね』
電車から降り、刀を抜く。
?「俺は強い人間が好きだ…三人か、あの方も喜ぶだろう……
お前ら、鬼にならないか?」
『ならねぇよ』
赤い頭髪、洗練された身体。
異様な威圧感。
『上弦か…』
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冨岡義勇が大好きな人 - すみません。冨岡さんルートの先のストーリーがURLでの移動ができません。これはどうしたらいいのか教えてください。 (2020年3月5日 0時) (レス) id: eedc890ee9 (このIDを非表示/違反報告)
エメラルド・アリス - ぐぁんばれぇぇぇ((おい敬語だろ すいませんでした (2020年2月16日 13時) (レス) id: 8a3a604a3a (このIDを非表示/違反報告)
かりんとうまんじゅう - いつも楽しみに読ませていただいてます!これからも頑張って下さいね! (2020年1月7日 22時) (レス) id: 5b8fccba8f (このIDを非表示/違反報告)
むい。(プロフ) - ムニエルさん» あ、はい。よくやるんですよね全く。ありがとうございます (2020年1月3日 9時) (レス) id: 830124773a (このIDを非表示/違反報告)
ムニエル - す、すいません義勇さんの冨が誤字ってます (2020年1月3日 4時) (レス) id: 12d65f590d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:24suganoya | 作成日時:2019年8月4日 23時