真田の起こし方 ページ8
真田弦一郎の朝は早い。彼はジョギングという日課を来る日も来る日も続けている。
私とは生活リズムが違うわけであり、彼はそれを多少は意識してくれる。
「A、A」
「んー……何」
「起きろ、朝だ」
「……まだ6時前じゃん、今日休みだよ」
しかし彼の考慮は本当に多少で、彼の起きるタイミングで起こされるわけではないにしろ、彼がジョギングを終え、シャワーを浴びたその次に起こされるのだから結局は彼の早起きに合わせなければいけない
「早起きは身体に良い、寝起きに水を1杯飲むと尚良しだろう」
「……おやすみ」
だから今日は、絶対起きないと決めてみた。
せっかくの休日、たまにはお昼前でもいいからゆったり遅起きしたいものだ
再び目を瞑った私に弦君は何っ、と反応する
「A、たるんどるぞ。眠気に勝たんか」
「勝ち負けじゃなくて、私は布団が好きなの……」
戯言を言ってみるとドサリ。ベッドの重心が傾く。弦一郎が乗ったのだろう。薄目で様子を伺うと目の前に弦一郎の顔があった
「……起きては、くれんのか」
少し眉尻を下げた、そんな顔。故意で無いにしろ、私はその顔に弱い。少しだけ決意が揺れそうになった
「弦一郎も一緒に寝ようよ」
両手を広げてさあカモンとポーズを取っても弦一郎はそれに乗らない
「俺に眠気はない!来い、朝飯が出来ている」
剥がされた布団、抱きしめるように起こされた上体、お風呂上がりのいい匂いがした
「うわーん!
「お前の恋人は俺だ!起きんか!」
結局起こされて朝ごはんの並べられたテーブルの前に座る。人間とは不思議なもので、ご飯のいい匂いに食欲を掻き立てられれば自然と眠気はマシになってしまう
頂きますと手を合わせて、少しの悔しさを視線に乗せて弦一郎にぶつけた
「もう、朝ごはんのタイミングなんて合わせなくてもいいじゃん」
ご飯を咀嚼する弦一郎は私の言葉に眉を寄せると口の中のものを飲み込む
「何を言っている、ご飯はどんな時も美味しく食べれた方がいいだろう」
「はい?」
「俺はお前が居た方が飯が旨く感じるのだ」
「っ!?」
思わぬ発言に味噌汁を吹き出しそうになった。え、え。なんでそんな可愛いこと言うの!?
「……?」
結局残りの眠気も吹き飛んで、今日も二度寝することなく過ごしてしまうのだから弦一郎は凄い
真田の起こし方
怒鳴られて起こされたことは未だに無い
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光華(プロフ) - 逆からのやつ感動です!!柳君だからこそできることかな?神ですね! (2021年3月11日 21時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
Haruka Ö(プロフ) - 逆から読むのは凄すぎました!!! (2020年1月27日 23時) (レス) id: 0d992502c1 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 逆から読むのがわからないです…。理解力なくてすみません!!気になるので誰か教えてください! (2020年1月7日 13時) (レス) id: 2a82e997d1 (このIDを非表示/違反報告)
佐和(プロフ) - はじめまして。ろちこさんの作品にはまってます。がっくんのプロポーズ、笑いました。からあげwww逆ハ話も好きですが、誰か個人落ちの話をもっと読んでみたいです。更新頑張ってくださいm(._.)m (2019年8月18日 0時) (レス) id: 892b8d0726 (このIDを非表示/違反報告)
くろかは(プロフ) - ゼクシィじゃねーのが面白すぎたので日常会話で積極的に使っていこうと思います(^ω^) (2019年7月10日 19時) (レス) id: e34a9a5e9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろちこ | 作成日時:2018年4月17日 2時