日吉の片思い：★ ページ15
一人暮らしを始めたと言う長太郎君の家に遊びに行った。長太郎君らしい綺麗な部屋。その真新しさの中に混ざる思い出の、テニスラケット。それと中学時代のジャージに何だか懐かしさを感じながらも探索を続ける。
「あれ、歯ブラシ2本あるね」
「日吉が頻繁に泊まりに来るから、もう置いておこうと思って」
そんな会話をしていれば鳴り響くインターホン。長太郎君は噂をすればと呟いた。
「私出るね、日吉君でしょ？」
「うん、お願い」
長太郎君に許可を貰いガチャりとドアを開ければあの頃と何ら変わっていない、けれど少し大人びた日吉君と目が合い頬が緩む
「日吉君、久しぶり」
挨拶をすると日吉君は目を見開いて口をあんぐりと空け、そのまましばらく静止した。そんなに驚かなくてもいいのに……そう思いながらも手を目の前に持っていきブンブンと振れば漸く反応を示してくれた
「A……か？」
「ふふ、誰に見えてるの？」
「いや……てか、何でここに」
「とりあえず上がろ？」
リビングへと招きながら私がここにいる理由などを話せば日吉君は薄い反応で相槌を打った
「よ」
「おう」
リビングに着くやいなやコソコソと話を始める長太郎君と日吉君。長太郎君は笑いながら、唐突に上着を羽織り始めた
「じゃあ俺はコンビニに行ってくるけど、二人は欲しいものとかある？」
突然の出来事に首を傾げながら、特に何も無いと伝えれば長太郎君は足早に家を飛び出してしまった
「何を買いに行ったんだろ？」
「……さあな」
気にしていても仕方無いのでしばらく日吉君と談笑する。
中学時代はああだったよね、こうだったよね、なんて昔話に花を咲かせていれば日吉君は少し私に接近し、
じっくりと、見つめられた。
「本当に、久しぶりだよな」
「……そうだね？」
「その……」
何だか言いづらそうに、口をモゴモゴとさせる日吉君。ん？と聞き返すと目を逸らされた。
「いや……綺麗になった、と思っただけだ」
言うや否や頬を少し染める日吉君に驚く
「日吉君も、カッコよくなったよね」
彼の社交性の成長に感動しながらもそう返せば、今度は耳まで真っ赤になった日吉君に睨まれた。
「……やめてくれ、突然」
「……？」
日吉の片思い
「折角だしAと2人で話しなよ」
「はっ！？何……」
「俺コンビニ行ってくるからさ」
「……お人好しかよ」
「何年も一途に片思いしてる健気な日吉のためなら、ね？」
「……クソ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 303人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「テニスの王子様」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くろかは(プロフ) - 「大事そうな話」が特に好きです！いや全部面白いんですけどね！！(*ﾟ∀ﾟ*) (2019年3月9日 11時) (
レス) id: e34a9a5e9f (このIDを非表示/違反報告)
ろちこ(プロフ) - びょるさん» 繰り返し失礼致します、続編に載せる予定だった四天宝寺プロポーズネタを急遽こちらで載せることになりましたので、ご連絡失礼致します！リクエスト本当にありがとうございました！ (2018年4月17日 6時) (レス) id: 7838910af6 (このIDを非表示/違反報告)
ろちこ(プロフ) - ふゆさんはじめまして！全てのお話に目を通して頂きありがとうございます！！お褒めの言葉まで！白石君程に融通の利くキャラはいません！書きやすさに重宝させて頂いてます笑。本当にありがとうございます、嬉しすぎます。これからも何卒、宜しくお願い致します！ (2018年4月17日 2時) (レス) id: 7838910af6 (このIDを非表示/違反報告)
ろちこ(プロフ) - 信玄さん» 信玄さんはじめまして！コメントありがとうございます！私もめっちゃ嬉しいです！続編でも何卒宜しくお願い致します！ (2018年4月17日 2時) (レス) id: 7838910af6 (このIDを非表示/違反報告)
ろちこ(プロフ) - 涼音さん» 涼音さんありがとうございます(><)続編でも何卒宜しくお願い致します！会員登録までっっ！本当にありがとうございます！仲良くしてくださいっ！ (2018年4月17日 2時) (レス) id: 7838910af6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ろちこ | 作成日時：2018年3月6日 12時
