手塚に弱い:★ ページ14
面倒くさい女だとは自覚してる。けれど性格は変えられない訳で、どうしても機嫌を直すことはできない
「何を怒っている」
「別に怒ってないよ」
「言わなければ分からない」
「だから怒ってないってば」
国光と付き合い始めて初めての誕生日を迎えた。日付ぴったりに連絡が来なかったことは想定済だったけど、当日デート中本当に何もないとは思わなくて、悲しさと惨めさでつい態度を悪くしてしまった。
私の悪態に気がついて解散を延長してくれた国光と駅前の公園のベンチに座り込んだまま、結構な時間が経とうとしている。
もうすぐ日付が変わる。サプライズをするような人じゃないからこのまま結局誕生日を終えるんだ
「……今日何の日か知ってる?」
自分から言い出すことは避けたかったので定番の質問を投げかける。国光は少し考えた。ほら、覚えてないじゃん
「……お前と付き合って10ヵ月と19日、それと9時間だ」
「記念日じゃないのは知ってるって」
精密に記念日を覚えてくれてるのは少し驚いたけれどそうじゃない、というかそれは覚えてて私の誕生日は覚えてないってことは本当に知らないだけなのかもしれない。思えば彼とそういう話をしたことはなかった
国光はもう少し考えて、少し目を見開いた。
「誕生日だったのか……?」
やっぱり知らなかったのか、そう思うと少しだけムカついた気持ちは収まったけれどそれとは別に寂しくなった。
「……」
「すまなかった」
誰もいない公園で国光の低い声だけが小さく響く。惚れた弱味というやつで、その言葉で少しだけ嬉しくなってしまう。
「もういいよ、教えてなかったもんね」
立ち上がってもう帰ろうと促しても、国光は立ち上がらなかった。何やら言葉を考えているようで首を傾げる
……風が冷たい。
「お前の記念日は知らなかった。弁解ではないが、俺はお前と出会ってから毎日が特別で、そのせいで油断をしていたのかもしれない」
真面目に、まるでミーティング中に反省を述べるかのようにそう語った国光。天然悩殺台詞を言うところ、本当にずるいと思った
「はぁぁぁ……」
「どうした」
一瞬で萌え殺されてその場にしゃがみ込む私。国光が心配そうに近寄る
「ううん、国光好きだなって思っただけ」
「……そうか」
不思議そうにする国光の手を取って、怒ってごめんねと笑い掛けた
手塚に弱い
「誕生日おめでとう、予定を変更して、今日は朝まで側にいてくれないか」
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くろかは(プロフ) - 「大事そうな話」が特に好きです!いや全部面白いんですけどね!!(*゚∀゚*) (2019年3月9日 11時) (レス) id: e34a9a5e9f (このIDを非表示/違反報告)
ろちこ(プロフ) - びょるさん» 繰り返し失礼致します、続編に載せる予定だった四天宝寺プロポーズネタを急遽こちらで載せることになりましたので、ご連絡失礼致します!リクエスト本当にありがとうございました! (2018年4月17日 6時) (レス) id: 7838910af6 (このIDを非表示/違反報告)
ろちこ(プロフ) - ふゆさんはじめまして!全てのお話に目を通して頂きありがとうございます!!お褒めの言葉まで!白石君程に融通の利くキャラはいません!書きやすさに重宝させて頂いてます笑。本当にありがとうございます、嬉しすぎます。これからも何卒、宜しくお願い致します! (2018年4月17日 2時) (レス) id: 7838910af6 (このIDを非表示/違反報告)
ろちこ(プロフ) - 信玄さん» 信玄さんはじめまして!コメントありがとうございます!私もめっちゃ嬉しいです!続編でも何卒宜しくお願い致します! (2018年4月17日 2時) (レス) id: 7838910af6 (このIDを非表示/違反報告)
ろちこ(プロフ) - 涼音さん» 涼音さんありがとうございます(><)続編でも何卒宜しくお願い致します!会員登録までっっ!本当にありがとうございます!仲良くしてくださいっ! (2018年4月17日 2時) (レス) id: 7838910af6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろちこ | 作成日時:2018年3月6日 12時