【テニプリ】恋の激ダサ短編集

赤也の棚上げ ページ2

「遅くなるなら連絡入れてっていつも言ってるでしょ？」

「悪りぃ悪りぃ、次から気をつけるからそんな怒んなよ〜」
「もう……」

交際は中学生の時から。同棲は1年目。そんな私達には気の張るような空間は存在しない。だからこうして小さな揉め事もなぁなぁになる。夜ご飯作って待ってたのに……。そんな怒りすらもう飽きてしまった

「なあ、許してくんねぇの？」

眉を曲げて子犬のように言われてはもう彼を責めることはできない、もしかして私ってダメンズウォーカー？いいや、赤也くんは少し報・連・相に弱いだけで普段は良い人なんだ。

そう言い聞かせてため息を吐けば酔った彼を介抱するために身体を動かした

×××

「すみません、ここら辺で大丈夫です。メーターとめてください」

バイト先の飲み会で遅くなってしまった某日。タクシー代は貰えたけどやはり電車よりも移動時間は掛かる。時計を見ればもう3時を回っていて時間の尊さを改めて実感した。

連絡は入れたしもう赤也くんは寝てるかな、なんて思いながら音が鳴らないようにゆっくりと鍵を回してドアを開ければ暖かい衝撃に襲われた

「遅せぇんだよ！バカ！」
「あ……ただいま」
「あぁおかえり……じゃねぇし！」

強く抱き締められている状況に頭がついていかない。もう酔いは醒めているハズなのに

「遅くなるって連絡入れたよね？」
「遅いにも程度ってもんがあんだろーが！」

どうやら遅くなる、というのは日付が変わるぐらいを指すのが彼の言い分らしい。私の帰りを待ってみたものの、中々帰ってこないのを心配してくれたらしい。

「ねえ、苦しいよ、とりあえずリビングに行こ？」
「嫌だね、もー離してやんない」

そのまま私を巻き込んで廊下に座り込む赤也くん。彼が開いた足の中に収まる

「ごめんね、これからはしっかり連絡するから、……というか」

なんだか私が悪いみたいになっているがそもそもいつも連絡を怠っているのは彼の方だ。筋合いとしてはおかしな話である

「あー、うん、俺も気をつけるからさ。ってか、本当今まで悪かった。こりゃ心臓に悪いよな」

実体験をしないと気がつけない赤也くんにまたため息が出たけれど、心配されるのも中々に悪くない



赤也の棚上げ



「じゃあ仲直りね、もう部屋戻ろ？」
「んー」

間延びした返事の彼が動く気がないことは分かっていたから、そのままもう少しだけ、こうしていようかななんてぼんやりと考えた

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