【d!】傾国の天使。 (ページ8)

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８△ 理想の国ページ8

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　綺麗に微笑んだ彼女にクツクツと愉快だと言わんばかりにグルッペンは笑った。彼女もそれにそっと微笑み返す。
「ふは、面白いな。⋯⋯ああ、そうだな。まず君はエデンズ国の第一皇子の婚約者アントネラ・シークラット令嬢で間違いないな？」
「元婚約者、の間違いですわ。総統閣下」
　お嬢様の仮面を被ったお嬢様を見たのはいつぶりだろうか、と脳裏で思いながらチーノはハラハラとアントネラを見つめていた。

「醜い男だらけの国で娼婦なんて出来るわけないやろ」
　そしてコネシマが何処か嫌悪を出したようにアントネラを指差して、部屋にいる人間に言い聞かせるようにそういった。グルッペンが彼女を受け入れそうな空気なのが嫌だったのだろう。彼女は指を差されキョトンとしている。

　勿論そんな事は無い、アントネラはイケメンを目の前にすると貞操観念なんて塵以下だ。今目の前にいる三人の誰かに抱きたいと言われれば、喜んで抱かれるだろう。タイプの男だったら、多少手荒くされたってそういうプレイだと割り切れる女だ。
　前世でも今世でも彼女は下方面に少し頭のネジが外れていた。
「なら証明致しますか？」
「はァ？」
　あざとく首を傾げるアントネラにコネシマは顔を顰める、そしてそのままコネシマの服を掴むとアントネラはそのまま彼の唇を奪おうとする。

「舐めとんのか、お前」

　しかし反射神経のいいコネシマは思いっきり彼女の口を自身の大きな手で覆った。目を見開くアントネラ、しかし彼女もそれだけでは終わらない。
　ゆっくりと微笑むと目にも止まらぬ速さでコネシマに足をかけ、床に転ばせ、唇を奪ってしまった。プロか。

　驚いたコネシマの口が開いた瞬間に彼女の舌はコネシマの口内に侵入し、暴れる。徐々に耳から首まで顔を真っ赤にするコネシマ。アントネラに解放された頃にはへなへなと腰砕けになっていた。
　顔を覆い隠して見つめているチーノ、面白いものを見たと言わんばかりに身を乗り出しているグルッペン、反応はそれぞれだったが何よりもアントネラが満足げだ。

　心の中はイケメンの唇を奪ってやったと大興奮なのは言わずともわかるだろう、そしてグルッペンと向き合うとまた不敵な笑みを浮かべた。

「娼婦が嫌ならそれ以外でも役に立てますわ。貴方が望むなら髪を切りますし、貴方が望むなら喜んで抱かれましょう。勿論、命だって喜んで捨てます。この国に入ったその時から私の命は貴方方の物なんですから」

　彼女はもう自分の理想の国から出るつもりなんてないのだ。

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