【d!】傾国の天使。 (ページ20)

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２０△ 広がる世界ページ20

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　お姫様抱っこをして、ゆらりゆらりとコネシマは城の中を歩き回る。過保護の権化であるチーノがいないからと案内してくれるようだった。

「チーノと違ってコネシマは色んなところに連れていってくれるのね」

　部屋で缶詰のようにされていたアントネラは心無しか嬉しそうだ。
　空が憎たらしいほど青々としていて、コネシマの髪の毛は太陽の光でキラキラと反射していた。それを眩しそうにアントネラは見つめている。

「あーー、幹部の中じゃチーノは弱い方やからなあ。まだまだ新人やし？この国の幹部達は化け物揃いや、チーノも閉じ込めて守ることしか出来ひんかったんやろ。あんま責めてやんなよ」
「責めてないけど、いくらなんでも過保護すぎよ」
　部屋から出れば5時間はガミガミとお説教を言われ続けるアントネラ。窓から浴びる太陽のお陰で顔色はそこまで悪くはないが、あのまま缶詰にされていれば本当に体調が崩れても可笑しくないぐらいだった。

　そんなチーノを想像してかコネシマは苦笑いした。

「まあそらしゃーないやろ、お前を守るためや。多少過剰なぐらいやないとゾムとか大先生とかから守れへんし」
「ゾム？大先生？」
「大の女嫌いと大の女好きの二人？片方はお前見つけたら殺しかねんし、片方は拗らせすぎてる」
「へえー⋯⋯、じゃあコネシマはその二人から私を守れるの？」

「当たり前やろ、俺やぞ。前線で戦ってきた俺は滅多な事で負けたりせえへん！⋯⋯って言いたいとこやけど、俺お前に押し倒されてるんよなぁ。何でや」
「それは私も王妃教育である程度の事は嗜んでるからじゃない？自分より力のあるものを押し倒すことぐらい簡単。フフ、ただのか弱い乙女じゃなくってよ」
「⋯⋯はぁあ、やっぱお嬢様育ちやってんなあ」
「当たり前でしょ！！！！」

　まるで信じていなかったと言いたげなコネシマはアントネラは怒る、有り得ない！と言わんばかりにコネシマの髪の毛をぐしゃぐしゃにしながら。
　そして「やめろや！」と何処となく嬉しそうに笑うとコネシマはチョコレートで作られたような深い色の大きな扉の前で立ち止まった。

「お、ついたついた！此処ならお前も気に入るやろ！ここの管理人も色々面倒臭いけど多分お前なら仲良くなれるやろうし」
「大きい扉⋯⋯」
「おう、この国自慢の図書館や」

　そう言ってコネシマはドアノブに手をかけた。

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