あの日、あの時、あの場所で Ⅱ【Reo】 (ページ38)

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鏡見て気合いを入れ直し、トイレを出る。

さて、元いた楽屋に戻ろうか、と廊下を歩いた所で

交わる横の廊下から歩いてきた人が急に現れ、鉢合わせた。

「うわっ！びびった」
『あっ、すいません！』

軽くぶつかった目の前の人を見て
一瞬、時が止まったようだった。

『えっ、あっ、あの、大丈夫、ですか？』

「……大丈夫じゃねーよ」

『え、』

「……いなくなんないでよ、Aちゃん」

そう言って彼は手を握ってくる

『……っ、ごめんなさい』

その言葉を聞いた時、さっき折角こらえた涙が流れてしまって

目の前にいる玲於くんの顔をまともに見ることができない。

「……ごめん、また後で。……逃げんなよ！」

そう言い残して玲於くんは去っていった。

取り残されたわたしは状況を理解するまで立ち尽くしていたが
他にも人が来るので、とりあえずトイレに戻って気持ちを落ち着かせる。

楽屋に戻った頃には

芳乃「どこほっつき歩いてたの。あ、もしかしてGENERATIONSに会いに行ってた？(笑)」

なんてからかわれて

『いや、会えるわけないじゃん。いくら同じ会場にいてもわたし芸能人でもあるまいし』

そう、会えるわけないと思ったし、
会うことないと思ってたのに

逃げんなよ！なんて言われちゃったな……

*