【 センラ 】 校 則 違 反 。

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そこからは、よく覚えていない。理由を聞いても答えてくれなくて、私の分のお金を置いてその場を去っていってしまった。あれから、私はどうしたのだろうか、多分 その場では涙を堪えていたのだろうが 帰り道にぼろぼろ泣いていたのだろうか、……それとも 涙すら出てこなかったのだろうか。

どちらにしよ、私の中の " 何か " が。……大事なものが、無くなったような。


その日以降、私は基本男性とそういう関係にならないような関係を築いてきて。さかたんの事も忘れよう、忘れよう、……そう思っても忘れられなくて。

忘れたい、けど 忘れたくない。だからさかたんも私を忘れないで。なんて、意味分からない感情だけど。


煙草を吸う度蘇ってくる思い出やさかたんの匂い。思い出しても泣きそうになってしまうのに、やめられない。ニコチン中毒なのか、……さかたんの優しさ(毒)に侵されたのか。

それとも、何方もだろうか。


煙草を吸っている理由は、と聞かれると実は自分でも上手くは説明出来ない。さかたんの事が好きだから、でも好きだからこそショックで忘れたかった。煙草を吸う度蘇ってくるのはさかたんの匂い、そしてそこから沢山のさかたんとの思い出が頭を過ぎる。

泣きそうなくらい、しんどくて 悲しくて 虚しいのに。やめられない。


＊


「 ふーーん…… 」

私が全てを話し終えると、そんな声を出すセンラくん。


「 それからはもう会ってないん？坂田さん？とは 」
「 ……会って、ないよ 」


電話かけてみたけど、携帯の番号を変えていたらしくて。そんな事、一度も言ってくれなかったのに。ああ、本当に私に愛想尽きたんだな って。理解したくなくてもしてしまって。

声が震えているのが分かる。油断すれば涙が出てそうで ぐっ、と堪えていれば ふわり、と香るセンラくんの匂い。


ああ、私は今、
_______________ センラくんに、抱き締められている。


話しながら吸っていた煙草を ぽとり と落としてしまう。さっきまであんなに煙草の匂い、……さかたんの匂いがしていたというのに。

お昼休み、屋上、生徒と二人きり。

地面には煙草の吸殻。そして女は男に抱き締められていて。しかもその二人の関係は 教師と生徒 ときた。


「 ……セ、ンラくん、」


きーんこーんかーんこーん

チャイムが鳴る。そのチャイムの音よりも聞こえる、私の心臓の音。ああ、ああ、……センラくんのしたい事が分からない。


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