LuvSummer ページ38
「 ねえ天月 」
「 ん?どした? 」
ある夏の暑い日、私と天月は、クーラーの効いた涼しい家でだらだらと過ごしていた。
「 海、行かない? 」
だらだらするのももちろん幸せだけれど、たまには外にも出たい。
しかも今年は平成最後の夏だ。思い出が作りたくてしょうがない。
そう思って、ごろごろしている天月をみた。
「 ん〜いいよ!いつ行く? 」
天月は笑顔でそう答えた。
想像では少し渋られるかと思っていたけれど、案外乗り気のようだ。
その後、わいわいとしながら予定を組んで、カレンダーに大きな赤い丸を付けた。
天月と海に行きたいがために、お腹も絞ったし美容にも気をつけていた。
どこかそわそわとしている自分がいて、思わず笑ってしまった。
そして迎えた当日。天月には当日見せたくて、水着はあえて一緒に買わなかった。
海について、また後でと更衣室へ別れる。
どんなリアクションが返ってくるのか、不安の反面楽しみでもあった。
でも更衣室は綺麗でスタイルのいいお姉さんたちがたくさんいて、心が折れそうになった。
他の女の人に目移りされないだろうか…。
着替えたあと日焼け止めを塗り髪の毛を整えたあと、恐る恐る更衣室からでる。
天月は私を見たあと思いっきり目を逸らした。
「 そっ、そんなに変だった…? 」
そんなに目を逸らされると不安になって下を向いてしまう。
ふわっと肩にかかるぬくもりに顔を上げると、天月は顔を真っ赤にしていた。
「 ち、ちがうちがう!!むしろ、かわいすぎて…これ着てて! 」
「 えっ暑いじゃん 」
「 いいから!…他の人に見せたくないの 」
ぼそっと呟いたあとそっぽを向いてしまった。
でも真っ赤な耳が隠しきれてなくて。
努力したかいがあったことが嬉しくなった。
「 照れてるの?天月く〜ん?? 」
調子に乗って顔を覗き込みながらからかうと、ムスッとした天月が私の後頭部に手を伸ばした。
私の制止の声も届かず唇を塞がれる。苦しくなって離れようにも後頭部を優しく抑えられているせいで離れることが出来なくて。
「 はあ、いきなりなに… 」
解放されたあと息絶え絶えにそちらを見れば、満足そうな表情を浮かべていた。
「 Aだって照れてるじゃん 」
「 …もう!海行くよ! 」
これでもかと言うくらい顔に熱を集めた私は、海に逃げたのであった。
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作者名:高瀬その | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8ef4f72c271/
作成日時:2018年6月26日 21時