センラさんに誘拐された件について。

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本当は行きたくないが

ここで 行きたくない と言ってもどうせ無駄だろう。


はあ、と溜息を吐きつつ

センラさんの隣を歩く。



センラさんはライブをした事があるのでリスナーさんに顔がバレている。

そのためか帽子をかぶりマスクをして 軽い変装。



それでも漂うこのイケメンオーラはなんなのだろうか。


そんな私の思ってることなんて知らないのか ぼーっ としている私に「 どうしたん？ 」と声を掛けてくれるセンラさん。

……まあ、私の思ってることを知らないのなんて当たり前だが。


逆に知られたら怖い、……と思ったが なんというか



( …………センラさんに私の考え全部見透かされてるような気もする…… )



＊



2人でショッピングモールをうろうろ。

周りにはとてもきらきらした、

今まで私とは無縁だった綺麗でオシャレで可愛らしい洋服ばかりで。


( ……目が、ちかちかする )


周りを見渡しても華やかな人ばかりで。

……私、こんな華やかな人達がいる所で洋服買うの？ なんて。


そんなの、私にはとても勿体無い。



「 センラさん 」
「 んー？何？迷子になるから手繋ぎたいって？ 」


ええよ、繋ごか。 そう言って ぎゅっ と手を繋いでくるセンラさん。

……私、そんなこと何も言ってないんですけど。と言おうとすれば


繋いだ手を見て 嬉しそうに笑うセンラさん。



( …………う、わー…… )


なんていうか、センラさんって、

────────そんな顔、もするんだ 。


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