* ページ2
.
「 ああ、でも怖がらんでええよ?俺は君の嫌がる事は何一つせえへん 」
「 なら家に帰らせてくれませんか 」
「 ……んー、ごめんな。それは出来ひん 」
「 だってやっと手に入れる事が出来たんやから 」なんて言って私の頬をゆっくりと撫でてくる男の人。
それは唐突の事で、思わず びくり としてしまう。
「 ……あ、そういやまだ名乗ってなかったな。センラ、って言えば分かるやろうか?……ふふ、一度君の歌も歌わせてもらった事あるんよ、" 有栖。" ちゃん。」
センラ、それはもう有名な歌い手で浦島坂田船という四人組のグループで活動している。
……ああ、やっぱり なんて納得してしまって。やっぱりこの声はセンラさんだった、のか。
それにしても、何故私が 有栖。だって事を知っているのだろうか。顔出しなど一切していないと言うのに。
「 なあんで俺が君の事を知ってるんか、とでも言いたそうな顔やな 」
「 ……………… 」
「 教えたろか?その代わり、君の本名教えてくれるんなら、な 」
「 ……お断り、します、」
信用できない、……のはまあ当たり前だが怖い。センラさんと会うのなんて初めてだというのに、……ううん、ましてや私は歌い手さんと会ったことなんて無いというのに。
そんな人に名前を教える、なんて出来るわけがない。
「 …………うん、やっぱりええわ 」
「 は……? 」
「 その、反抗的な態度、……かと思えば少し怯えてるのか震えているその瞳、全部全部俺だけのモノにしたい 」
そう言った後、顔を近付けてくるセンラさん。
私に反抗する隙なんて与えない、と言った風に私の唇にセンラさんの唇が当てられて。
唇と唇が離れれば何事も無かったかの様に「 さっ、ご飯食べよか。有栖。ちゃんも早くおいでや 」なんて言って部屋を出ていってしまうセンラさん。
一方の私は突然の事で唯々驚く事しか出来なくて。
( …………誘拐、されて、キス された? )
今までの歌い手としてのセンラのイメージが崩れた瞬間。
どこか逃げられる場所は無いのか、と思っても何処にも無くて。
とりあえず立ち上がり、ご飯を食べるであろう部屋へと移動した。
.
1234人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くっしょん(プロフ) - 面白かったですううううう!作者さんもしやセンラー?(* ' @ ' *) (2018年7月20日 6時) (レス) id: befdedf8a6 (このIDを非表示/違反報告)
光希(プロフ) - めっちゃ面白かったです!!これからも更新楽しみにしています!! (2018年5月20日 13時) (レス) id: cfe2cc8d41 (このIDを非表示/違反報告)
月読命 - 更新頑張ってください! この作品大好きです!! (2018年5月13日 15時) (レス) id: 3990fcd378 (このIDを非表示/違反報告)
高瀬その(プロフ) - 魔界の帝王様。さん» 返信がかなり遅くなってしまい申し訳ございません;またコメント有難うございます!そしてTwitterのフォローも有難うございました…!;;そう言ってもらえて嬉しいです〜!更新頑張ります…! (2018年4月24日 17時) (レス) id: f2f4556022 (このIDを非表示/違反報告)
高瀬その(プロフ) - 八神さん» 返信がかなり遅くなってしまい申し訳ございません;またコメント有難うございます!わー!面白いと言ってもらえて嬉しいです!面白すぎて禿げた…?!……脱毛剤いりますか???(え) (2018年4月24日 17時) (レス) id: f2f4556022 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:高瀬その | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/8ef4f72c271/
作成日時:2018年1月9日 13時