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「間抜けすぎる」
「な、だって……元々出る予定なかったし」
「当たり前でしょ。あんた出したら負けるに決まってるもん」
友人の言葉を否定することも出来ず。
球技大会当日。もともと選手としてフットサルに出場する予定だった子が一人、体調を崩して欠席してしまって。
唯一の補欠要因だった私が、ここへ駆り出されることになり。
絶望的に運動が出来ない私。それを踏まえて私は補欠だったわけで、勿論クラスメート全員それを理解してくれていて。
不安と、ある意味で期待の眼差しを向けられながら、コートへ出向いた私。
その後、彼らのその期待にしっかりと応えてしまった私は、見事にすっころんでジャージを泥まみれにしてしまった。
羽織るものが無くて、半袖姿のまま。ほんの少し肌寒くて、転んだ一件が恥ずかしくて、グラウンドの隅で座り込んで身を縮こませていると。
「これ」
「え……」
「俺、今から試合だから。着てていいよ」
差し出されたジャージの胸元に『草川』の文字。
しゃがみこんで私の顔を覗き込んだ拓弥くんが、ふわりと優しく微笑んだ。
「怪我、してない？」
「あう……だいじょぶ、です……」
「ふふ」
やっぱり見られていたのか。拓弥くんにだけは、何としてでも見せたくなかった姿だったのだけれど。
顔を上げられない、目を合わせられない。どうせなら怪我をして保健室に運び込んでもらえたら、その方が視線を気にせずにいられて気楽だったのに。
そんな私のどうしようもない心情を悟ったのか、拓弥くんの大きな手が頭の上に乗せられた。
「ほんとやだ……」
「頑張った結果なんだから仕方ない」
ゆっくりと降りた手が、束ねていたポニーテールの毛先を弄ぶ。
と、不意に。
「……ちゃんと俺のこと、見てろよ？」
肩をぐいっと掴まれて、耳元でそんなことを囁かれたら。
何も言えず無言で首を縦に振り続ける私を見て、拓弥くんが弾けたように笑った。
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ちよこ(プロフ) - 草村 みゆさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると、書いていてよかったなあと思えます(; ;) 嬉しいです(; ;) 気まぐれな更新が続くかと思われますが、今後ともお付き合いくださると嬉しいです！ (2017年10月9日 23時) (
レス) id: 96b79ece7b (このIDを非表示/違反報告)
草村 みゆ(プロフ) - この話すごく好きです！ 続きも楽しみにしてます＼(^o^)／ (2017年10月1日 17時) (レス) id: d19d8cf885 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちよこ | 作成日時：2017年8月16日 19時
