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そのまましゃがみこんだ拓弥くんが、私の頭を撫でた。
「そういうことすれば許すって思ってる？」
「思ってないけどしたかっただけ」
「……なんで笑うの」
「だってかわいいから」
「嬉しくないしかわいくない」
こんな返事をしたいわけじゃない。
そうじゃないけど、いらいらむかむかは収まらなくて、ついつい棘のある言葉を返してしまう。やっぱりわたしはかわいくない。
めんどくさいって、思ってるのかな。
これ以上拓弥くんを困らせたくないし、いやな女の子だと思われたくないから。
やっぱり一人で帰る、と立ち上がったけど、拓弥くんがそれを許すはずがなく。
腕を掴まれ、宥めるようにもう一度ベンチに座らされた。
「ねえ、A？」
「……」
「……また “ワガママ” とか、思ってる？」
「……」
「おれ、結構寂しいよ」
ポツリ、呟いた彼の声色が妙に悲しくて。
ゆっくりと顔を上げると、涙で歪んだ視界の中に、拓弥くんがいる。
彼は少し考え込むように目を伏せると、ひとつひとつ言葉を選ぶように話を始めて。
「めんどくさいなんて思わないし、迷惑だなんて思わないからさ。……その代わり、泣く時はおれと一緒のときにして？」
涙の跡を拭うその仕草が、向けられる眼差しが、くすぐったいくらいに。彼の優しさが私を溶かしていく。
涙が落ち着いたのを確認すると、腰を上げて私の隣に座り直した彼。
スカートを握りしめていた手を自分の手で包み込んで、そのまま指を絡めた。
「言いたいこと、全部言って？」
「……」
「言ってくれなきゃわかんないこともある」
「……あ、の」
「うん」
「……さっきの子、に、拓弥くんって呼ばれてるの聞いて、いやだった」
「うん」
「部活頑張ってる拓弥くんは格好良いけど、遅くまでほかの女の子と二人きりで片付けしてるって思うと、ちょっと不安になる」
「うん」
「あと……しょうがないのは分かってるけど、あんまりいっぱいほかの女の子と仲良くしてるの見るのは、やだ」
「うん」
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ちよこ(プロフ) - 草村 みゆさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると、書いていてよかったなあと思えます(; ;) 嬉しいです(; ;) 気まぐれな更新が続くかと思われますが、今後ともお付き合いくださると嬉しいです！ (2017年10月9日 23時) (
レス) id: 96b79ece7b (このIDを非表示/違反報告)
草村 みゆ(プロフ) - この話すごく好きです！ 続きも楽しみにしてます＼(^o^)／ (2017年10月1日 17時) (レス) id: d19d8cf885 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちよこ | 作成日時：2017年8月16日 19時
