8話 ページ10
「腐れ縁って...」
「銀時、説明してもいいの?」
私がそう銀時に聞くと、椅子に座ったまま俯いた。
「......お前がいいんなら。」
「そっか。ありがとう。」
頭にクエスチョンマークを浮かべたまま顔を傾けるメガネくんに
半ば母性本能を感じながらも、銀時を眺めながら
昔の事について口を開いた。
「メガネくんは攘夷戦争について聞いてる?」
「新八です。
はい、銀さんと桂さん達が一緒に戦っていたっていう争いですよね?」
「新八くんね、ありがとう。私はAです。
そう...あまり公にはしたくないんだけど、実はその争いに私も参加してたの。
あまり名前は知られていないけど、一応は隊を纏める総指揮とかいう役割で戦に出てたりして。」
私がそう言うと、新八くんはギョッと目を見開いた。
「ええ!女性なのに戦に出てたんですか!?」
「うん。理由は銀時と同じ。
銀時とは松下村塾で出会ってそこから。
だから腐れ縁ってとこかな。」
だよね?と銀時の方を向くと、小指を鼻に突っ込んで
どうでもいい、とでも言いたげに
鼻くそをほじっていた。
一方新八くんは、驚きを隠せない様子で此方を見据えている。
この差が何とも言えなくて、思わず息をついた。
「聞いたことも無かったです、攘夷戦争にまさか女性が居たなんて。
銀さんからも聞いてなかったですし。」
「まあ...銀時にはちょっと口止めしてたしね。
...それを今でも守ってくれてるとは思ってもなかったけど。」
再び視線を銀時に向けると、ふんっと鼻を鳴らして顔を横に背けた。
これは、銀時なりのデレだろうか。
「あ、あと、もう1つ気になってる事があるんですけど...」
不意に新八くんが話し出す。
この話題についてはもう分かっている。
「仮面のことでしょ。」
「えっ、なんでわかったんですか!?」
「いや、そりゃあこんな也してたら誰だってそう思うよ。
...ここに来る途中だって、色んな人に2度見されたし。」
「あ...異様って事は分かって付けてるんですね...。
なんでそんな仮面なんか...」
「職業上、この仮面がないと生きていけないんだよね。」
私がそう言うと、「職業?」と同時に聞き返す2人の声が上手いことハモった。
そして2人は顔を見合わせる。
そんな昔のアニメみたいな聞き返し方...と内心思いつつ、「そう、職業上ね」と口角を上げて笑った。
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作者名:花流 | 作成日時:2019年2月11日 15時