その愛、雨模様。

背信の模様です。(knmc)☆ ページ7

『なんか最近、可笑しいんだよね』
｢一体何がですか？｣
昼休み。いつもなら自分で作ったお弁当を食べるところだけど、そんな気分にもなれずに机に突っ伏す。..というか今日は作ってすらいないんだけど。
『..言っても引かない？』
私の言う｢おかしい｣は決して軽々しく人に言える内容じゃない。私の目の前で遠慮なくお弁当を頬張る剣持を見ると、彼は一瞬私を見てから卵焼きを掴んだ。うわいいなぁ、おいしそ。
｢まぁ、Aの口から言われてみなければ分かりませんけど｣
｢並大抵の事で引きませんよ、僕は｣
で、なんなんですか。
そう急かす剣持に、私は溜息を吐いてから話し始めた。
『..最近、ストーカーに遭ってる気がするんだよね』
｢.....はぁ｣
大分長い間を空けてから返事をする剣持。さてはこいつ、信じてないな？
『いやまじで、マジと書いて本気と読むレベルでまじ』
｢うん、それ普通逆なんだよな？漢字の前に振り仮名が来るのはおかしいんですよ｣
漢字があってこその振り仮名ですから、と冷静なツッコミの剣持に少し安心する。ただ信じてないだけかもしれないけど引いてはいないみたいだ。良かった。

『どうすれば良いと思う？』
｢..まぁ、僕は警察に相談した方がいいと思いますけど｣
正論を吐いてから唐揚げを掴んで口に入れる剣持。空腹が限界の私が1個ちょうだい、と強請ると1つ口に放り込んでくれた。お、やっぱり美味しい。
唐揚げを咀嚼しながら剣持の言葉を待つ。彼はしっかりと飲み込んでから続きを話した。

｢今のところ証拠もないんでしょう？｣
｢Aが大事にしたくないのなら行かないのも手だと思いますよ｣

悪戯の可能性もありますもんね、と呟いてから、彼は私と自身の口に振りかけのかかったご飯を詰め込んだ。


＿
『剣持ー、ノート貸してー』
5時間目の終了後、クラスメイトと談笑している剣持に呼びかける。いい加減自分でノート取った方がいいですよ、と小言を言いながらもちゃんと貸してくれる剣持にお礼を言ってから席に戻ろうとすると、クラスメイトの1人に半笑いでからかわれる。
｢相変わらずお熱いですねぇーお二人さん｣
その言葉に頬が熱くなったが、私はまるでそんな事無いように笑って否定した。
『そもそも付き合ってねーよ』
そうですよ、と剣持も否定するのを確認して席に戻る。..顔がいつもより赤い気がしたのは、期待しても良いってことなんですかね、剣持さん。
綺麗に書かれたノートを写しながら、私はニヤける頬を抑えた。

背信の模様です。(knmc)☆→←二面性にはご注意を。(segs)☆

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