本社。からの拉致 ページ33
「ありがとうございました!」
そう言って一礼し、部屋を出た。第三会議室、という札のかかっているこの部屋は、来るの自体は初めてではないものの、いつまでたっても緊張が抜けない。
今日はここに呼ばれ、デビューしてからの反応とかの話をしていた。当たり前だけど、やっぱりスタッフさんたちの仕事に対する姿勢が熱心で、ちょうど良いくらいの緊張感が生まれる。
無事に終わってよかった。
安堵からのため息を深くつき、さあ帰ろう、と方向転換する。
「うわぁ!?」
後ろを向いた瞬間、目の前は真紫。思ってもみなかった出来事に思わず悲鳴をあげ後ろに飛び上がる。が、部屋から出たばかりだったので、当然真後ろに扉があるため、背中を強打した。
「っ…!!!」
「んふ、びっくりした?」
にこにこと、紫色の服の男の人は笑っている。よく見るとその後ろにも2人笑いを堪えるような仕草をする人たちがいた。
知り合いかと思ったけど、頭をフル回転させても全く心当たりは無い。
「…あの、どちら様ですか…?」
「ほんっとごめんなさい!!」
そう言って手を合わせて謝っているのは、さっきまでにこにこしていた男の人。
どうやらこの人たちもライバーさんで、デビューする前に俺のことを見かけていて、話しかけに来てくれたらしい。自分たちのことも知っているだろう、と思い、ドッキリを仕掛けたかったそうだ。
「こちらこそ、ほんと申し訳ないです…。」
ゆるりと頭を下げて、俺も謝る。入ったばかりだと言っても、流石に先輩のことを知らないのはまずいだろう。もっと見ておけば良かった、とすごく後悔した。
「ごめんね、うちのバカが」
「ちょ、まゆゆ!?」
「あはは!!」
まゆゆ、と呼ばれた人は黛先輩、笑っているのは三枝先輩、そして、紫色の不破先輩。
覚えられないかと思ったけど、きちんと覚えられてよかった。
全然大丈夫ですよ、と笑ったあと、そろそろ帰ろうかななんて思っていた。
そのとき、急にガッと腕を両側から掴まれる。
「う、わ…!!」
腕を掴んでいるのは、三枝先輩と、不破先輩。さっきまで和やかに話していたのに、なんで?
なんかやらかしたかな、とか思っていたら、唯一目の前にいる黛先輩が不敵に微笑んで、こう言った。
「さて、行こうか」
え?どこに?
意味がわからず困惑していると、両脇からも声があがった。
「俺らが逃すと思った?」
「今夜は返さないかんね」
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gibyaso754(プロフ) - 名前変換できるようにして欲しいです (1月22日 8時) (レス) @page4 id: 1e4176b142 (このIDを非表示/違反報告)
はーしーですよ。(プロフ) - その後2人が楽しく配信出来たのか気になる所!これからも応援します。 (5月9日 22時) (レス) id: 83bbff44cf (このIDを非表示/違反報告)
あおりんご(プロフ) - 33さん» コメントありがとうございます!面白いなんて言っていただけてとても嬉しいです!更新頑張ります! (2022年7月29日 13時) (レス) id: 96896c9c2e (このIDを非表示/違反報告)
33 - めちゃくちゃおもしろかったです!!!!!更新頑張ってください (2022年7月29日 13時) (レス) @page33 id: ce81fe4080 (このIDを非表示/違反報告)
あおりんご(プロフ) - 綺羅さん» コメントありがとうございます!やっとですね笑!楽しんで頂ければ幸いです! (2022年5月25日 22時) (レス) id: 9a72bcc81d (このIDを非表示/違反報告)
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