・ ページ15
「え!?壮真、会社辞めたの?」
「えっと、まあ、うん」
苦笑いして頬をかく壮真から告げられたのは、俺たちにとって衝撃的な事実だった。
珍しく休日の昼間に呼ばれて、何かと思い二人で急いで向かい、これを知らされた。なんかソワソワしてんな、とは思ったけど、まさかこんなことだなんて思いもしなかった。
聞けば、別に壮真は悪くないのに怒鳴られ、もう無理だと思いきって辞めたらしい。
不思議だった。今までずっとその会社でやってきていて、こんな短期間で行動出来るような性格じゃないと思うのに。
壮真は、辞めるまでの経緯と感想を楽しそうに話してくれた。まだ辞めて少ししか経っていないけど壮真にとってはもう笑い話らしい。
今まで、遠慮したような笑顔ばかりだったから、そんな年相応な笑顔を見れて安心した。
「それで、さ、にじさんじの件はまだ悩んでるからもうちょっと待ってもらってもいいかな」
きっと本題はそれだったんだろう。俺たちの声色を伺うように聞いてくる。俺は別にいいって言おうとした。辞めてすぐに決めるなんて難しいだろうし、第一この仕事はいろいろ難しいから。
「…現時点ではどう思ってるの?壮真は」
普段と変わらない、いつも通りのテンションで叶が口を開く。こいつにしては珍しく、まるで急かすような言葉が発せられた。
「…え、うーん…。楽しそう、くらいしか…」
まあそんな反応になるだろうな。困ったように眉を寄せる壮真に、叶は更に詰め寄る。
「ふーん……。別に断ってもいいんだよ?」
「え……?いや、それは」
叶の少々意地の悪い問いかけに、何故か慌てて、モゴモゴと言いづらそうに目を伏せた。叶の意図は分からないけど、分かったような気もした。俺だって、壮真と仕事が出来たら良いな、とは思う。
…みんなに紹介するのはちょっとイヤだけど。
「……勇気が、無いんだ」
ぽつり、と壮真が呟いた。待ってましたと言わんばかりに叶と俺は身を乗り出すようにして話を聞く。
「ほんとダメだよな、俺。…怖いんだ、新しい場所に行くのが。だから会社だって辞めらんなかった。二人とたくさん遊べるなら俺もやりたい。けど、どうしても、無理なんだ……」
やりたい。その言葉で、どれだけ俺たちの目が輝いただろう。
すっかり縮こまった背中を見て、思わず壮真の肩を叩いた。目を見開いて俺を見る壮真にこう言った。
「なに悩んでんだよ。やりたいならやりゃいいじゃん?」
「そうだよ。やらない後悔よりやる後悔でしょ」
俺たちの最大の出番はきっとここだろう。
2035人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「2j3j」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
gibyaso754(プロフ) - 名前変換できるようにして欲しいです (1月22日 8時) (レス) @page4 id: 1e4176b142 (このIDを非表示/違反報告)
はーしーですよ。(プロフ) - その後2人が楽しく配信出来たのか気になる所!これからも応援します。 (5月9日 22時) (レス) id: 83bbff44cf (このIDを非表示/違反報告)
あおりんご(プロフ) - 33さん» コメントありがとうございます!面白いなんて言っていただけてとても嬉しいです!更新頑張ります! (2022年7月29日 13時) (レス) id: 96896c9c2e (このIDを非表示/違反報告)
33 - めちゃくちゃおもしろかったです!!!!!更新頑張ってください (2022年7月29日 13時) (レス) @page33 id: ce81fe4080 (このIDを非表示/違反報告)
あおりんご(プロフ) - 綺羅さん» コメントありがとうございます!やっとですね笑!楽しんで頂ければ幸いです! (2022年5月25日 22時) (レス) id: 9a72bcc81d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ