下手な鉄砲数打ちゃ当たる、なんて迷信【利根 大夢】 ページ43
*
「…………」
「……あの、大夢くん」
「何負けてんだアホ。100メートル走に至ってはあの雑魚眼鏡にすら負けてるじゃねぇか」
「……ごめんなさい」
息も絶え絶えに踞り、途中えずきかけながら情けない姿を晒す真那斗。
あの集団が思っていたより良い成績を残していたのにはムカついたが、もっとムカついたのはコイツだ。
なんだ22.57って、亀か。
……とまぁ亀はオーバーではあると思うが、ノーマルであることを考慮しても良いとは言えないだろう。
雑魚なのがここにきて裏目に出ているのは計算外。
組んでいた腕をほどいてポケットに突っ込む。
「……アホが増えてる」
視線をあの集団に逸らせば、人が増えていた。
確か最初は、凡人Dと雑魚眼鏡と頭花畑女、時代誤差野郎にセンス壊滅男に前髪ワックスだけだった筈なのに。
そういえば、持久走の時。
アイツら結構面白いことしてたよなぁ、と記憶を掘り返す。
「生きてたらまた会おうぜ」だったか?
わざと抜かされてから抜き返して同じ事を言ってやろうかな、とも考えたが、純粋に記録が落ちかねないから止めておいた。
……面白いものだ。
凡人が己に憎しみや恨みや苛立ちを向けているのは。
上っ面で誉められても全く嬉しくない、妬みや嫉妬こそが己にとっては純粋な称賛。
「……大夢くんは13.41だっけ、凄いね」
「……お前、それは皮肉か?」
一番じゃない記録なんて無駄なものだ。
あの髪の毛一部ババァ女と如何にも能無しそうな女に負けている時点で優越感は激減している。
……何か特筆して上手なものがあるわけじゃない、だからこそ総合では上位に立ちたい。
ただあのノーマル集団は例外だ、あれは真正面から全てを叩き潰さないと。
「……次は耐久だったか」
十分間耐えられた者は居ないと聞いた。
ならば俺が一番目になってやろうじゃないか。
*
見えない苛立ち。【明石楽】→←疎外感の共有は許されず【横山 真那斗】
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ヒメアミ(プロフ) - 更新しました!あと続編移行したので皆さんそちらにお願いします!…あと続き半濁音さんに繋げていただけると嬉しいです! (2020年4月3日 15時) (レス) id: fb659ead07 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - 更新します! (2020年4月3日 14時) (レス) id: fb659ead07 (このIDを非表示/違反報告)
そら*フィア(プロフ) - 終わりました。次の方お願いします。 (2020年4月3日 14時) (レス) id: c283b58b59 (このIDを非表示/違反報告)
そら*フィア(プロフ) - 更新します。 (2020年4月3日 13時) (レス) id: c283b58b59 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - すみませんやっぱ止めます…m(_ _)m (2020年4月3日 11時) (レス) id: fb659ead07 (このIDを非表示/違反報告)
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